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LEVEL-Jとは |
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加齢黄斑変性(AMD)は、網膜の黄斑部の小領域である眼の黄斑に進行性の変性異常が生じることによって特徴づけられます。AMDは年配者の疾患と特徴づけられ、今後の高齢化社会において、十分な予防または治療手段がないため、視力低下を伴うAMDの症例は増加すると予測されています。
従来、AMDの治療には、光線力学療法(PDT)が大きな役割を果たしてきました。しかし、PDTは必ずしも十分に満足できるものではなく、光過敏反応も危惧されます。
一方、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が血管新生型AMDの病状をもたらす主な促進因子として関与している、という根拠が急速に蓄積されています。米国ではAMDの治療は抗VEGF療法に移ってきているのが現状です。ただしVEGFには、脈絡膜毛細血管から網膜への栄養供給を促すほか、全身性にもさまざまな生理的作用があり、長期的にVEGFを完全に阻害してしまうと正常な機能に問題が生じる可能性も完全には否定できません。
ペガプタニブ・ナトリウムは、VEGFの5つのアイソフォームのうち、眼の病的血管新生に関与するVEGF165のみを選択的に阻害します。日本では希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定され、2008年7月に承認されました。使用実態下でのデータ集積はこれからです。使用実態下におけるデータ集積であっても、予め決められた同一の評価方法で、前向きにデータを集積していくことが重要であると考えます。
本研究は、ペガプタニブ・ナトリウムを維持療法として投与される患者を対象に、使用実態下における有効制と安全性を探索的に検討する、多施設共同前向き観察研究です。短期間導入療法ののち、ペガプタニブ・ナトリウムによる維持療法に切り替えるコンビネーション治療の有用性を検討します。
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LEVEL-Jの概要 |
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目的:
初期治療により視力改善が認められたAMD患者に対し,ペガプタニブ・ナトリウム(0.3mg/眼)を6週毎に48週、維持療法として硝子体内投与した場合の使用実態下における有効性と安全性を探索的に検討する
デザイン:
多施設共同前向き観察研究
主要評価項目:
ベースラインから54週目までの視力がベースライン値を維持したか、あるいはベースライン値から改善した患者の割合
目標登録例数:
150例(150例、150眼)
主な適格基準:
維持療法としてペガプタニブ・ナトリウムを投与する予定のAMD患者のうち、以下の基準を満たす者
1) 中心窩下脈絡膜新生血管を有するAMDである
2) 研究登録30〜120日前にAMDに対して、@1〜3回のラニビズマブ、A1〜2回のPDT、B1〜3回のペガプタニブ・ナトリウム、又は@〜Bの適切な組み合わせのいずれかの治療を実施している
3) 研究医師が2)の治療によって滲出型黄班変性が改善した事を臨床的および解剖学的の双方またはそのいずれかの所見で確認している
4) 登録時のOCT所見にて、中心点で測定したピンポイントの網膜厚150μm以上300μm以下である
5) 治療眼の視力が1.3以下(logMAR)、20文字以上(ETDRS)、または20/400以上(Snellen)である
6) 中心窩下に萎縮または瘢痕がない
7) 50歳以上である
8) 文書での参加同意を取得できている
研究期間:
2009年4月〜2012年5月(必要に応じて延長する)
登録期間:1年、 治療観察期間:1年、 解析・論文化:6ヵ月
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