■ 医療用医薬品のバーコード表示の実施について (2006年 06月 16日 13:19)
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 厚生労働省医薬食品局安全対策課は、医薬品の取り違え事故の防止及びトレーサビリティーの確保を目的とした「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について(案)」をとりまとめ、平成18年3月24日付け「医療医薬品へのバーコード表示の実施について」を発信し6月15日までパブリックコメントを募集しました。その後、内容を最終決定し、製薬企業などに通知を予定しています。
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 「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について(案)」は次のようなものです。
1.表示対象及び表示するデータ
表示対象は医療用医薬品とし、包装形態の単位及び医療用医薬品の種類に応じ、次のとおり、商品コード、有効期限、製造番号又は製造記号及び数量を表示する。
(1)調剤包装単位 ( 調剤包装単位とは、製造販売業者が製造販売する医薬品を包装する最小の包装単位をいう。例えば、錠剤、カプセル剤であればPTPシートやバラ包装の瓶、注射剤であればアンプルやバイアルなどである。)
●特定生物由来製品
 商品コード:◎、有効期限:◎、製造番号又は製造記号:◎、
●生物由来製品(特定生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎ 有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、 
●内用薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、
●注射薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、
●外用薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、
(注1)『◎』は必ず表示するもの(必須表示)、
    『○』は必ずしも表示しなくて差し支えないもの(任意表示)

(2)販売包装単位(販売包装単位とは、通常、卸売販売業者等から医療機関等に販売される最小の包装単位をいう。例えば、錠剤、カプセル剤であれば調剤包装単位であるPTPシートが100シート入りの箱、注射剤であれば10アンプル入りの箱などである。)
●特定生物由来製品
 商品コード:◎、有効期限:◎、製造番号又は製造記号:◎、
●生物由来製品(特定生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎、有効期限:◎ 製造番号又は製造記号:◎ 
●内用薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、
●注射薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、
●外用薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、
(注1)『◎』は必ず表示するもの(必須表示)、
    『○』は必ずしも表示しなくて差し支えないもの(任意表示)

(3)元梱包装単位 (元梱包装単位とは、製造販売業者で販売包装単位を複数梱包した包装単位をいう。例えば、販売包装単位である箱が、10箱入った段ボール箱などである。)
●特定生物由来製品
 商品コード:◎、有効期限:◎、製造番号又は製造記号:◎、数量:◎、
●生物由来製品(特定生物由来製品を除く。)
 商品コード:◎ 有効期限:◎ 製造番号又は製造記号:◎ 数量:◎、
●内用薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:○、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、数量:○、
●注射薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:○、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、数量:○、
●外用薬(生物由来製品を除く。)
 商品コード:○、有効期限:○、製造番号又は製造記号:○、数量:○、
(注1)『◎』は必ず表示するもの(必須表示)、
    『○』は必ずしも表示しなくて差し支えないもの(任意表示)
(注2)数量は、元梱包単位に含まれる販売包装単位の数量とする。

2.商品コード及びJANコードの付番
(1)商品コードは、個々の医薬品の包装形態の種類ごとに付されるJANコードの先頭に、調剤包装単位においては「0」、販売包装単位においては「1」、元梱包装単位においては「2」を付けた14桁のコードとする。
(2)JANコードは、次のとおり付番する。
・JANコードは個々の医薬品の包装形態の種類(注)ごとに付すこと。ただし、元梱包装にあっては販売包装 と同一のJANコードとすること。従って、調剤包装のJANコードは販売包装のJANコードとは別のJANコードと なるものであること。
・JANコードは販売を行う会社ごとに付番すること。
・過去に使用したJANコードは、当該JANコードを使用していた医薬品が販売中止されてから少なくとも10年 経過してからでなければ、再使用してはならない。ただし、特定生物由来製品に使用したJANコードは、再使 用してはならない。
(注)調剤包装では、10錠のPTPシートと21錠のPTPシートは別の種類として取り扱うものであること。

3.JANコードの変更 略
4.バーコードシンボル体系 略
5.データ要素の表記順及びアプリケーション識別子 略
6.新バーコード表示の実施時期
(1)特定生物由来製品、生物由来製品若しくは注射薬(生物由来製品を除く)のすべて の包装形態又は内用薬(生物由来製品を除く)若しくは外用薬(生物由来製品を除く)の販売包装:平成○○年○月(通知から2年)(ただし、年1回しかしていないもの等特段の事情があるものについては平成○○年○月(通知から3年))以降に製造販売業者から出荷されるものについてはすべて表示する。
(2)内用薬(生物由来製品を除く)又は外用薬(生物由来製品を除く)の調剤包装単位:
 関係業界等によって3〜5年後の表示実施を目標に包装形態ごとの技術開発等が行われていることから、その実施時期については別途通知する。
7.その他 略                                 」
引用資料
1)パブリックコメント「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について」:厚生労働省
医薬食品局安全対策課(平成18年3月24日);http://www.mhlw.go.jp/
■ 厚生労働省が作成した「妊娠期の至適体重増加チャート」 (2006年 05月 26日 10:20)
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 厚生労働省は、妊娠期における体重増加量について、一律に抑制されることによって低出生体重児が増加するとの懸念から、非妊娠時の体格区分(やせ、普通、肥満)別に「妊娠期の至適体重増加チャート」を作成し「妊産婦のための食生活指針」として公表しています。1)
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 厚生労働省は平成18年2月1日付けで『「妊産婦のための食生活指針」の策定について』と題する報道発表資料を発表しました。概要は次の通りです。
〔厚生労働省では、学識経験者等に参集を求め、昨年2月より『「健やか親子21」推進検討会』を開催し、その中で「食を通じた妊産婦の健康支援方策研究会」を立ち上げ、妊娠期及び授乳期における望ましい食生活の実現に向け、何をどれだけ食べたら良いかわかりやすく伝えるための指針とともに、妊婦個々の体格に応じて適切な体重増加量が確保されるよう、その目安について検討を行ってきた。
このたび「妊産婦のための食生活指針」(「健やか親子21」推進検討会報告書)として取りまとめたので、その内容を公表する。〕というものです。

 ここでは、「妊産婦のための食生活指針」(「健やか親子21」推進検討会報告書)のなかで紹介されている「妊娠期の至適体重増加チャート」の概要を以下に引用します。
 詳細については、「妊産婦のための食生活指針」(「健やか親子21」推進検討会報告書)2):http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3a.htmlを御参照下さい。
本報告書のなかの関連記事は、
「妊娠期の至適体重増加チャート」について、その報告の中の 『4「妊娠期の至適体重増加チャート」について』の項、および、『5「妊産婦のための食生活指針」及び「妊娠期の至適体重増加チャート」の活用に向けて』の項の【リーフレット】をクリックして開いて下さい。

● 妊娠前の体格をBMI(Body Mass Index) で三つに分類
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMI:18.5未満・・・・・・;低体重(やせ)
BMI:18.5以上25.0未満 ・;ふつう
BMI:25.0以上・・・・・・;肥満

● 体格区分別 妊娠全期間を通しての推奨体重増加量
 妊娠前の体格区分:低体重(やせ);妊娠全期間を通しての推奨体重増加量 9〜12kg
妊娠前の体格区分:ふつう;妊娠全期間を通しての推奨体重増加量 7〜12kg ♯1
 妊娠前の体格区分:肥満;妊娠全期間を通しての推奨体重増加量 個別対応 ♯2
*体格区分は非妊娠時(妊娠前)の体格による。
♯1 体格区分が「ふつう」、の場合、BMIが「低体重(やせ)」に近い場合には推奨体重増加量の上限側に近い範囲を、「肥満」に近い場合には推奨体重増加量の下限側に近い範囲を推奨することが望ましい。
♯2 BMIが25.0をやや超える程度の場合は、おおよそ5kgを目安とし、著しく超える場合には、他のリスクを考慮しながら、臨床的な状況を踏まえ、個別に対応していく。

● 体格区分別 妊娠中期から末期における1週間当たりの推奨体重増加量
 妊娠前の体格区分:低体重(やせ);妊娠中期〜末期 推奨体重増加量 0.3〜0.5kg/週
 妊娠前の体格区分:ふつう;妊娠中期〜末期 推奨体重増加量 0.3〜0.5kg/週
 妊娠前の体格区分:肥満;個別対応
*体格区分は非妊娠時の体格による。
*妊娠初期については体重増加に関する利用可能なデータが乏しいことなどから、1週間あたりの推奨体重増加量の目安を示していないため、つわりなどの臨床的な状況を踏まえ、個別に対応していく。

「妊娠期の至適体重増加チャート」のまとめとして

@体格区分別 妊娠全期間を通しての推奨体重増加量の設定について
●妊娠前における体格区分とリスクとの関連については、
妊娠前に「低体重(やせ)」に属する者は、低出生体重児分娩や子宮内胎児発育遅延、切迫早産や早産、貧血のリスクが高まる。
妊娠前に「肥満」に属する者は、糖尿病や巨大児分娩、帝王切開分娩、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)のリスクが高まる。
●妊娠期における体重増加量とリスクとの関連については、
妊娠期に体重増加量が著しく少ない場合には、低出生体重児分娩や切迫流産、切迫早産のリスクが高まる。
妊娠期に体重増加量が著しく多い場合には、前期破水や妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、巨大児分娩、帝王切開分娩、分娩時の出血量過多、羊水混濁・胎児心拍数異常のリスクが高まる。
●妊娠前における体格区分と妊娠期における体重増加量とのリスクの関連については、
妊娠前に「低体重(やせ)」「ふつう」「肥満」のいずれの体格区分に属していても、妊娠期の体重増加量が少ない者では低出生体重児のリスクが高まる。
妊娠前の体格区分が「低体重(やせ)」に属する者で妊娠期の体重増加量が多い場合には、帝王切開のリスクが高まる。
妊娠前の体格区分が「ふつう」に属する者で妊娠期の体重増加量が多い場合には、heavy-for-dates児(在胎週数に対して出生体重が重い児をいう。)や帝王切開のリスクが高まる。
妊娠前の体格区分が「肥満」に属する者で妊娠期の体重増加量が多い場合には、分娩時の出血量が過多になるリスクが高まるとされる。

妊娠全期間を通しての推奨体重増加量は「低体重(やせ)」の場合は9〜12kg、「ふつう」の場合は7〜12kgとし、肥満の場合は、個別に対応していくこととし、BMIが25.0をやや超える程度の場合は、おおよそ5kgを目安とし、著しく超える場合には、他のリスク等を考慮しながら、臨床的な状況を踏まえ、個別に対応していく。

A体格区分別 妊娠中期から末期における1週間あたりの推奨体重増加量の設定について
 体格区分が「低体重(やせ)」、「ふつう」の場合、妊娠中期から末期における推奨体重増加量を0.3〜0.5kg/週とし、「肥満」の場合は、糖尿病や高血圧などの基礎疾患を有している場合があり、これらの基礎疾患の有無が胎児予後に大きく影響する可能性があるため、個別に対応していくこととした。
詳細については、参考文献を参照ください。
参考文献
1)厚生労働省:「妊産婦のための食生活指針」の策定について:
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3.html
2)「妊産婦のための食生活指針」(「健やか親子21」推進検討会報告書):
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3a.html
■ 鳥インフルエンザウイルスに対するモックアップ(プロトタイプ)ワクチンとパンデミックワクチン開発 (2006年 05月 19日 10:47)
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 鳥インフルエンザの感染が世界的な拡大をみせるなか、新型インフルエンザの世界的流行の可能性が示唆されています。対策として、抗インフルエンザ薬の備蓄とワクチンの開発が急がれています。国内のワクチンメーカー4社と国立感染症研究所などが協力し、年内の治験終了を目標にH5N1型鳥インフルエンザウイルスに対するヒト用プロトタイプワクチンの臨床試験が、我が国で始まりました。
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 厚生労働省健康局で平成17年12月に策定された「新型インフルエンザ対策行動計画」の中の参考資料・用語解説にモックアップ(プロトタイプ)ワクチンとパンデミックワクチンについて次のように解説されています。1)
「モックアップ(プロトタイプ)ワクチン:対象とするウイルス株が特定されていない場合に、モデルウイルスを用いて作成されたワクチン。主として、治験等の薬事承認を得るための申請データの作成に用いる。
パンデミックワクチン:流行しているウイルス株を用いて、作成されたワクチン。」

日経メディカル2006年3月号には、プロトタイプワクチンについて報告されています。
その概要については次のようなものです。
「今年2月、H5N1型鳥インフルエンザウイルスに対するヒト用ワクチンの臨床試験が、我が国で始まった。国内のワクチンメーカー4社と国立感染症研究所などが協力し、年内の治験終了を目標に開発が進められている。このワクチンは、一般に「プロトタイプワクチン」と呼ばれているもので、いわば試作品のワクチン。トリ−ヒト感染したウイルスに対するワクチンであり、ヒト−ヒト感染が始まったとき、つまりパンデミックの危険性が高まった場合につくる「パンデミックワクチン」のひな形となるものだ。
 プロトタイプワクチンを開発し、H5N1型ウイルスに対するワクチンとして薬事承認を得ておけば、パンデミックの際にはウイルス株を変更するだけでよく、臨床試験を省略して迅速にパンデミックワクチンの供給を開始することができる。また、試作品とはいえ、新型H5N1型ウイルスに対しても交叉免疫によってある程度の予防効果が期待できる。
 世界のどこかでトリ−ヒト感染が始まってから、パンデミックワクチンが完成するまでに、少なくとも6ヵ月かかるといわれている。
 そこで、パンデミックワクチンが完成するまでに医療関係者に対してプロトタプワクチンを接種するという事態が考えられます。
今回のプロトタイプワクチンには、従来のインフルエンザワクチンと違い、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント(免疫賦活剤)が添加されている。これまでの研究で、アジュバントを添加しなければ十分に抗体価が上昇しないと考えられたためだ。添加される物質は、DPTワクチン*1にも使われている水酸化アルミニウム。抗体価上昇が見込める一方で、副反応にもより注意が必要になるかもしれない。」
 ヒト−ヒト感染が始まったときに、抗インフルエンザ薬による感染拡大を封じ込め、パンデミックワクチンによるパンデミック(大流行)の予防ができるよう期待されます。心配されたパンデミックは、世界保健機関ほか関係者の努力で局地封じ込めに成功し、あと1カ月を切ったワールドカップ開催が待たれるところです。
*1)DPTワクチン:ジフテリア、百日咳、破傷風三種混合ワクチンの略

参考資料
1) 厚生労働省:新型インフルエンザ対策行動計画;
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/03sankou.html
2) プロトタイプワクチン;日経メディカルNo.460,P 23,2006
■ 吸入式インスリンの販売を世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)が認可 (2006年 03月 07日 13:46)
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 米国食品医薬品局(FDA)が1月27日、米国ファイザー社の吸入式インスリン「エクスベラ」の販売を認可した、と1月29日の新聞各紙やホームぺージ等に報道されました。
平成18年1月29日付 朝日新聞(共同)は「エクスベラは遺伝子組み換え技術で製造されたヒトインスリンの粉末(insulin human[rDNA origin]Inhalation Powder)。眼鏡ケース大の専用吸入器を使って口から吸い込む。効果が表れるのが早いため、即効型のインスリンの注射の代わりになるが、作用が遅いタイプのインスリンも必要な患者さんには注射と併用になる。」と報道しています。1)
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 薬事日報(平成18年2月20日付)の「アメリカ医薬品情報」(沖 愛士)には、エクスベラについて次のように解説されています。2)
「エクスベラの臨床研究は、1型および2型の糖尿病患者約2,500人を対象に実施された。エクスベラの血中インスリン濃度は通常の注射型インスリンに比べてピークに達する時間が早かった。通常の注射用インスリンは105分(範囲60〜240分)でピーク量に達したが、エクスベラは49分(範囲30〜90分)でピークに達した。
 1型糖尿病患者における臨床研究は、エクスベラが食事と一緒に使用する短期作用型インスリンの代わりに長期作用型インスリンと共に使用できることを示した。
2型糖尿病患者に対しては、エクスベラ単独、エクスベラと血糖を抑える非インスリン型経口薬(メトフォルミンなど)との併用、またはエクスベラと長期作用型インスリンとの併用による臨床研究が実施された。その結果、エクスベラは2型糖尿病に対して、単独、または経口薬もしくは長期作用型インスリンとの組み合わせで使用できることが証明された。
エクスベラ処方には、FDA承認の患者用情報を含む「投薬ガイド」が付随する。薬剤師は製品と共に投薬ガイドを配布しなければならない。患者の使用法順守が製品の効果に対して不可欠である。患者は、投薬ガイドを完全に読み、疑問があれば医師に相談することを勧める。エクスベラはすべてのインスリン製剤と同様に低血糖を起こすので、患者は血糖を定期的にモニターすべきである。
その他の副作用として、咳、息切れ、喉の痛み、口の乾きなどがある。
喫煙者または最近禁煙した人(6カ月以内)はエクスベラを使用すべきではない。エクスベラの使用によって、喫煙者はインスリンの全身的な暴露が非喫煙者の2〜5倍に高まると考えられるからである。エクスベラの使用は喘息、気管支炎または肺気腫の患者に対して推奨できない。エクスベラ治療開始前には肺機能の基礎検査を行い、その後6〜12カ月ごとに検査を繰り返すことが必要である。
申請者は市販後もエクスベラの安全性を継続して確認し、隠れた肺疾患をもつ患者に対するエクスベラの効果と安全性の問題をさらに徹底して調べるため、長期間研究の実施を約束した。」
同様の記事は、ファイザーニュース3)、ファイザーニュースFacts About Exubera4)にも報告されています。
今回認可されたエクスベラはファイザー社の製造だが、イーライリリー社、コスファーマシューティカル社、マンカインド社、ノボ・ノルディスク社など各社が同形態の薬剤の開発・承認申請の準備を進めているという。5)

 なお、ファイザー(株)のホームページから、同社の開発品目を調べてみましたが、2月21日現在、開発品目一覧には、エクスベラの記載は見られませんでした。6)
国内での開発はこれからと思われます。

参考資料
1)「吸入式インスリン認可 注射なし、米で販売へ」朝日新聞(共同) 平成18年1月29日
2)「アメリカ医薬品情報 初の吸入型インスリンを承認」沖 愛士:薬事日報 平成18年2月20日
3)ファイザーニュース:
http://www.pfizer.com/pfizer/are/news_releases/2006pr/mn_2006_0127a.jsp
4)ファイザーニュースFacts About Exubera:
http://www.pfizer.com/pfizer/download/exubera_release_faq.pdf
5)糖尿病ネットワーク アメリカの糖尿病最前線:
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2006/01/fdaexubera.html
6)ファイザー株式会社−研究・臨床開発−臨床開発:
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/clinical_development/list/index.html
■ 患者さん向けの医療用医薬品情報がホームページで  (2006年 02月 28日 10:33)
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くすりの適正使用協議会が副作用情報を拡充した「くすりのしおり」新バージョンを5月には内服薬と外用薬について、提供を開始できるとの見通しを明らかにしました(薬事日報:平成18年1月30日)。また、医薬品医療機器総合機構は平成18年1月31日付で、各製薬企業が作成した「患者向け医薬品ガイド」を同機構のホームページに掲載した、と報道されています(薬事日報:平成18年2月6日)。
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 両方のホームページでA社の医薬品名○○○○錠○mgを検索してみました。
(1)「医薬品医療機器情報提供ホームページ」(www.info.pmda.go.jp)を立ち上げ、「患者向医薬品ガイド」の窓をクリックしますと、「患者向け医薬品ガイド」が表示されます。平成18年2月現在のホームページには、経口糖尿病薬の情報のみが掲示されていますが、今後、抗リウマチ薬、喘息治療薬、血液凝固阻止剤及び抗血小板剤のガイドを公表予定とのことです。一覧表として表示されている薬の中から(例)として○○○○錠○mgを選んでクリックするすると、
「患者向医薬品ガイド」が表示され、次のような項目で解説されています。
【この薬は?】
【この薬の効果は?】
【この薬を使う前に、確認すべきことは?】
【この薬の使い方は?】
【この薬の使用中に気をつけなければならないことは?】
【副作用は?】(注)副作用名にはフリガナが付けられています。
【この薬の形は?】
【この薬に含まれているのは?】(注)有効成分と添加物が記載されています。
【その他】
【この薬についてのお問い合わせ先は?】
等が患者さんにわかりやすい言葉で、詳細に記載されています。

(2)「くすりの適正使用協議会」が提供しているホームページ「くすりの情報ステーション」(http://www.rad-ar.or.jp/)を立ち上げますと「くすりの情報ステーション」の画面があらわれますが、その画面の左側中段に「調べてみようくすりのしおり、くすりの名前は?」の窓にくすりの名前「○○○○錠○mg」を入力し「調べる」をクリックしますと、求める
「○○○○錠○mg」の記事が表示され
●この薬の作用と効果について
●次のような方は使う前に必ず担当の医師と薬剤師に伝えて下さい。
●用法・用量(この薬の使い方)
●生活上の注意
●この薬を使ったあと気を付けていただくこと(副作用)
(注)この欄には医療担当者の記入欄も設けられています。
●保管方法その他
(注)この欄にも医療担当者の記入欄が設けられています。
●医療担当者記入欄
という構成になっていますが、全体にみて医療担当者がこれを使用して患者さんへの情報提供をするのを意識して作成されているように思われます。
特に「●この薬を使ったあと気を付けていただくこと(副作用)」の項において、
◆次のような症状に気付いたら使用をやめて、すぐに主治医に相談して下さい。
(例)低血糖症状:強い異常な空腹感、冷や汗が出る、動悸がする、手足のふるえ、めまい(ふらつき)、目がちらつく、脱力感(力の抜けた感じ)、頭痛・集中力低下(ぼんやりする)、いつもと違う異常な行動をとる、意識がなくなるなど。
【尚、低血糖症状に気付いたら、砂糖、飴玉。ジュースなどを、α−グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ、ベイスン)と併用している場合はブドウ糖をとってから主治医に相談して下さい。】
その他の症状:出血しやすい(歯ぐきの出血、鼻血など)、のどの痛み、発熱、体がだるい、食欲がない、皮膚や白目が黄色くなる。
◇次のような症状に気付いたら、なるべく早めに主治医に相談して下さい。
発しん、かゆみ、吐き気がする・・・・・
という風に、「医薬品医療機器情報提供ホームページ」と同様に患者さんにわかりやすい言葉で、ていねいに記載されています。
 両者のホームページにおける記載はともに、副作用防止に重点をおき、詳細に、丁寧に記述されています。
■ 新型インフルエンザに関するQ&A−後半(厚生労働省ホームページより) (2006年 01月 25日 00:23)
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 厚生労働省は、平成17年10月に、新型インフルエンザ対策推進本部を設置し、その対策のための行動計画を策定した。また、国民が新型インフルエンザについて正確に理解し、その予防など冷静に対応できるよう「新型インフルエンザに関するQ&A」を作成し、今後も新型インフルエンザに関して、正確かつ迅速な情報提供に努めるとしています。
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 「新型インフルエンザに関するQ&A」は平成17年11月15日に作成され、その後、同年11月30日と12月15日に改訂が行われています。詳しくは、厚生労働省ホームページ(URL;http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html)を参照ください。ここでは、同年12月15日改訂のものを2回に分けて転載いたしました。
(この記載は、後半分です。)

■V.国民ひとりひとりの予防と対応

V−1Q.通常のインフルエンザの予防接種(ワクチン接種)は、新型インフルエンザに効果がありますか。
A.新型インフルエンザのヒト−ヒト感染が起きた場合、予防手段として直ちに使用できるワクチンは現時点ではありませんが、新型インフルエンザのウイルスに対して効果を発揮するワクチンの早期実用化に向けた開発努力が、日本を含め世界の各国で展開されています。

V−2Q.新型インフルエンザの予防はどうしたらよいのですか。
A.通常のインフルエンザは、感染した人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫とともに放出されたウイルスを吸入することによって感染します。そのため、外出後のうがいや手洗い、マスクの着用、流行地への渡航、人混みや繁華街への外出を控えることが重要です。また、十分に休養をとり、体力や抵抗力を高め、日頃からバランスよく栄養をとることも大切です。現状では新型インフルエンザは出現していませんが、出現した場合も通常のインフルエンザと同様に感染防御に努めることが重要です。

V−3Q.新型インフルエンザに感染した場合、どのような症状がでるのですか。
A.新型インフルエンザに変異することが懸念されている高病原性鳥インフルエンザの症状としては、これまで東南アジアなどでの事例では、発熱、咳など、ヒトの一般的なインフルエンザと同様の症状に加え、60%以上の感染者に下痢が認められました。また、結膜炎、呼吸器症状や、多臓器不全に至る重症なものまで様々な症状がみられ、死亡の主な原因は肺炎でした。
しかし、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザウイルスに変異した場合、その症状の程度は、現在のところ予測することが困難です。

V−4Q.新型インフルエンザにかかったかどうか、どうしたらわかりますか。
A.現在、新型インフルエンザは発生しておらず、その臨床症状については予測することが困難です。将来的に、新型インフルエンザが出現した場合、特定の症状がある場合には、医療機関を受診し、専門的な検査を受けることとなります。厚生労働省では、その検査法について、研究開発を進めています。

V−5Q.新型インフルエンザの治療法はあるのですか。
A.インフルエンザの治療に使われている抗インフルエンザウイルス薬が有効であると考えられており、今回の行動計画では、2500万人分の抗インフルエンザウイルス薬を備蓄することとしました。抗インフルエンザウイルス薬については、本Q&Aの第W章で詳細に扱っております。また、V−1にあるようにワクチンも開発中です。治療薬、治療方法について、最新の知見が発表され次第、情報提供し、国がとるべきしかるべき対応策について公表してまいります。

■W.リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)について

W−1Q.タミフルの効能・効果、用法・用量について教えてください。
A.タミフル(有効成分:リン酸オセルタミビル)は、A型又はB型インフルエンザの治療及びその予防のために使用される医薬品であり、カプセルタイプとドライシロップタイプがあります。その効能・効果、用法・用量は、次のとおりです。

<<タミフルカプセル75>>
<効能・効果>
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防
<用法・用量>
1.治療に用いる場合
通常、成人及び体重37.5kg以上の小児は1回1カプセルを1日2回、5日間服用する。
2.予防に用いる場合
通常、成人及び13歳以上の小児は1回1カプセルを1日1回、7〜10日間服用する。

<<タミフルドライシロップ3%>>
<効能・効果>
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症
<用法・用量>
通常、成人は1回75mgを1日2回、5日間服用する。
通常、幼小児は1回2mg/kg(体重1kgあたり2mg)を1日2回、5日間服用する。
タミフルは医師の処方せんによって投薬されることが薬事法によって義務付けられており、医師の処方せんなしに薬局等において購入することはできません。

W−2Q.タミフルは、どのような時に服用するのですか。
A.タミフルは、医療機関で診察を受け、医師がタミフルの必要性を十分検討した上で、患者に処方するものです。インフルエンザに感染したすべての患者がタミフルを服用する必要はないと考えられます。
 健康な成人の方では、一般的に、インフルエンザウイルスに感染し、症状が出てから3〜7日間でウイルスの排出も終わると言われています。
 また、タミフルは、インフルエンザの症状が出てから2日(48時間)以内に服用を開始することとされています(症状が出てから48時間経過した後に服用を始めた場合には、その有効性を裏付けるデータはありません)。
 なお、65歳以上の高齢者や慢性呼吸器疾患の患者など、インフルエンザにかかった場合に重症化しやすい方々については、同居する方がインフルエンザにかかったときに、その予防のために、医療機関で診察を受け、タミフルが処方されることがあります。一般的な予防投与は認められていません。
 予防のために服用する場合には、インフルエンザに感染した患者に接触した後2日(48時間)以内に服用を開始することとされています(接触してから48時間経過した後に服用を始めた場合にも、その有効性を裏付けるデータはありません)。

W−3Q.1歳未満の子どもや妊婦、授乳婦がタミフルを使用するときの注意を教えてください。
A.
○ 1歳未満の子どもについて
 1歳未満の子どもについては、安全性及び有効性が十分確認されていないので、医師がタミフルの必要性を慎重に検討し、かつ、その保護者の方々に、服用方法、注意を要する副作用等を丁寧に説明し、同意を得た上で、使用することとされています。
○ 妊婦の方等について
 妊婦又は妊娠している可能性のある方については、医師がタミフルの必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が胎児への影響等の危険性を上回ると判断する場合にのみ使用することとされています。
○ 授乳婦の方について
 授乳をしている方については、タミフルを飲んだときは授乳を避けてください。

W−4Q.タミフルを飲んではいけない場合や、特に注意することが必要な場合を教えてください。
A.
○ タミフルに過敏症がある方についてこれまで、タミフルを服用した後に、発疹やショックなどの過敏症の症状が出たことがある方はタミフルを服用してはいけません。
○ 腎機能に障害がある方について
 腎機能に障害がある方は、血液中のタミフル濃度が高くなることから、その服用方法が一般の方と異なることがあるので、医師の指示を厳格に守って服用してください。
○ 遺伝性果糖不耐症の方について
 遺伝性果糖不耐症の方は、タミフルドライシロップ3%には果糖の前駆物質(体内で果糖に変換される物質)添加されているので、服用する場合には医師の指示を厳格に守ってください。

W−5Q.タミフルの副作用について教えてください。
A.タミフルを服用したときは、腹痛、下痢、嘔気などがあらわれることがあります。
 また、まれに、タミフルの服用により、重い副作用を起こすことがあります。
 具体的には、ショック、アナフィラキシー様症状*1、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)*2、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)*3、精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄(せんもう)(意識がもうろうとした状態)、幻覚、妄想、痙攣(けいれん)等)などがあらわれることがありますので、これらの症状があらわれた場合は、直ちに医療機関に受診してください。
*1 ショック、アナフィラキシー様症状:重症の過敏症であり、初期症状として顔面や上半身の紅潮・熱感、皮膚が痒い、唇や舌・手足がしびれるなどの症状をきたし、進行すると血圧低下、呼吸困難、痙攣などから意識消失、呼吸停止に至ることがあります。
*2 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):重症の皮膚障害であり、初期症状として発熱、関節が痛い、皮膚がまだらに赤くなる、水ぶくれができるなどの症状をきたし、進行すると、眼、鼻、口、外陰部などに充血、びらんが起きることがあります。
*3 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):極めて重症の皮膚障害であり、初期症状として発熱、発疹、皮膚が焼けるように熱く感じる、水ぶくれができるなどの症状をきたし、進行すると、急速に全身の皮膚が傷害され、発赤、水ぶくれ、びらんが広がる、皮膚がむけやすくなり、重症のやけどのようになる、口や目の粘膜にもびらんが起きることがあり、時には意識障害や呼吸困難に陥ることもあります。

W−6Q.タミフルを服用した後の異常行動等による小児の死亡例が報道されていますが、厚生労働省としては、タミフルの安全性についてはどのように考えているのですか。
A.タミフルを服用した16歳以下の異常行動によるものを含む小児13例(治験時1例を含む。)の死亡が報告されています。これら小児の死亡事例とタミフルとの関係については、本年11月18日に米国食品医薬品局(FDA)が評価を依頼した小児諮問委員会においても、「現時点で得られている事実からは、因果関係を示す証拠はないと考えられる」と評価されています。
 厚生労働省としては、専門家の意見も聞いたところ、タミフルと死亡との関係については否定的であることなどから、現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていません。
 医師の指示に従って適切に服用するとともに、副作用の症状があらわれたときは、医師、薬剤師に相談してください。

W−7Q.タミフルを服用した後の成人の死亡例も報告されているようですが、厚生労働省としては、タミフルの安全性についてどのように考えているのですか。
A.タミフルを服用した成人(17歳以上)の死亡が報告されていますが、専門家の意見も聞いたところ、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)*1及び腎不全*2による死亡2例については因果関係を否定できないものの、それ以外の24例についてはタミフルと死亡との因果関係は否定的であるとされています*3。
 タミフルの服用に伴い中毒性皮膚壊死症及び腎不全がごくまれにあらわれることについては、添付文書の使用上の注意にそれぞれ平成14年10月及び平成15年7月に記載し、注意を喚起しているところです。
 したがって、厚生労働省としては、現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていません。
 医師の指示に従って適切に服用するとともに、副作用の症状があらわれたときは、医師、薬剤師に相談して下さい。
*1 中毒性表皮壊死症は、一般用医薬品を含めた多くの医薬品においてごくまれにあらわれる副作用として報告されています。医薬品・医療機器等安全性情報No.218
(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/10/h1027-1.html)の「2.医薬品による重篤な皮膚障害について」を御参照下さい。
*2 タミフルと腎不全との因果関係が否定できない事例が、これまでに10例(死亡例は本例のみ)報告されています。
*3 タミフル発売(平成13年2月)後に厚生労働省に報告された事例については上記のとおりですが、これとは別に、タミフルの製造販売業者は、そもそもタミフルとの因果関係がないものとして死亡8例を把握していると聞いています。

(参考:タミフルの有用性について)
(1)医薬品は、人体にとって本来異物であり、何らかの副作用が生ずることは避け難いものです。このため、治療上の効能・効果と副作用の両者を考慮した上で、医薬品の有用性が評価されるものです。
(2)タミフルについては、
○ WHOや欧米においても、インフルエンザに有効な医薬品は実質的にタミフルしかなく、新型インフルエンザ対策の重要な柱として位置づけられており、
○ タミフルとの因果関係を否定できない死亡例が上記のとり報告されていますが、ごく限られたものです。
(注)昨年冬のインフルエンザ・シーズンにおけるタミフルの国内供給量は約860万人分。
(3)したがって、タミフルは医薬品として高い有用性が認められるものであり、通常のインフルエンザ及び新型インフルエンザ対策の上で、必須の医薬品と考えられています。

W−8Q.タミフルをインターネット等で個人輸入して、使用してもかまわないのでしょうか。
A.タミフルは、医療機関を受診し、医師の指示に従って服用する医薬品です。
 タミフルを個人輸入して、自己判断で使用することにより、健康被害が引き起こされる可能性もありますから、安易に個人輸入して使用することは控えて下さい。

〔参考〕
1.タミフルの添付文書は、医療用医薬品の添付文書情報(検索ページ)
http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html)の「一般名・販売名」に「タミフル」と入力し、[検索実行]ボタンをクリックすることにより入手できます。
2.タミフルの「くすりのしおり」(医師や薬剤師などの医療提供者から患者さんに、その「くすり」の概要を説明する際の補助資料です。)は、くすりの適正使用協議会のウェブサイト(http://www.rad-ar.or.jp/siori/kensaku.html)で、検索・入手できます。
3.タミフルのインタビューフォーム(医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等が集約された総合的な医薬品解説書です。日本病院薬剤師会が記載要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼しているものです。)は中外製薬株式会社ウェブサイトの「医療関係者向け情報」(http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/di)で、検索・入手できます。
4.「インフルエンザ脳症ガイドライン」(厚生労働省 新興・再興感染症「インフルエンザ脳症の発症因子の解明と治療及び予防方法の確立に関する研究」班作成)は、
http://www.okayama-u.ac.jp/user/med/ped/pedhome.html で入手できます。

■X.問い合わせ先

X−1Q.新型インフルエンザについて、わからないことはどこに問い合わせればよいのですか。
A.新型インフルエンザ等に関する情報は、厚生労働省のホームページを随時更新する予定です。なお、ご不明な点につきましては、厚生労働省健康局結核感染症課(電話03−5253−1111)にお問い合わせ下さい。

■ 新型インフルエンザに関するQ&A−前半(厚生労働省ホームページより) (2006年 01月 17日 23:56)

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 厚生労働省は、平成17年10月に、新型インフルエンザ対策推進本部を設置し、その対策のための行動計画を策定した。また、国民が新型インフルエンザについて正確に理解し、その予防など冷静に対応できるよう「新型インフルエンザに関するQ&A」を作成し、今後も新型インフルエンザに関して、正確かつ迅速な情報提供に努めるとしています。
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 「新型インフルエンザに関するQ&A」は平成17年11月15日に作成され、その後、同年11月30日と12月15日に改訂が行われています。ここでは、同年12月15日改訂のものを2回に分けて転載いたします。詳しくは、厚生労働省ホームページ(URL;http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html)を参照ください。(なお、添付されている図表は省略いたしました)

■ T.新型インフルエンザの流行

T−1Q.新型インフルエンザとは何ですか。
A.インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによっておこる病気です。
ヒトだけでなく、他の動物もインフルエンザウイルスに感染します。通常、インフルエンザウイルスは、例えばヒトからヒトへといった同種の間で感染するものです。
 しかし、インフルエンザウイルスの性質が変わる(変異する)ことによって、これまでに、ヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスが、ヒトへ感染するようになり、そしてさらにはヒトからヒトへ感染するようになります。この変異したインフルエンザウイルスのことを新型インフルエンザウイルスといい、そのウイルスによって起こるインフルエンザを新型インフルエンザといいます。

T−2Q.これまでに新型インフルエンザの流行はありましたか。
A.新型インフルエンザとして、大正7年(1918年)に「スペインインフルエンザ」、昭和32年(1957年)に「アジアインフルエンザ」、昭和43年(1968年)に「香港インフルエンザ」、昭和52年(1977年)に「ソ連インフルエンザ」が流行しています。これらはいずれも世界的に流行し、多くの死亡者(たとえば、「スペインインフルエンザ」において、世界では約4,000万人、わが国では約39万人が死亡)を出しました。新型インフルエンザは、10年から40年の周期で流行するといわれています。
 しかし、新型インフルエンザウイルスがいつ出現するのか、予測することはできません。

(注:これまで一般に、スペインかぜ、アジアかぜ、香港かぜ、ソ連かぜと表記してきたものについては、本資料では、それぞれ、スペインインフルエンザ、アジアインフルエンザ、香港インフルエンザ、ソ連インフルエンザと表記しています。)

T−3Q.なぜ、新型インフルエンザの世界的流行(パンデミック)の可能性が指摘されているのですか。
A.T−1に記載があるようにインフルエンザウイルスが変異し、新たにヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの世界的流行の可能性が示唆されています。新型インフルエンザがもし発生した場合、基本的にすべての人々は、そのウイルスに対して抵抗力(免疫)をもたないため、新型インフルエンザはヒトの間で、広範にかつ急速に広がると考えられます。さらに、人口の増加や都市への人口集中、飛行機などの高速大量交通機関の発達などから、短時間に地球全体にまん延すると考えられます。この世界的流行をパンデミックといいます。
 ただし、新型インフルエンザウイルスがどのくらい強い感染力をもつのかについては、現段階ではわかりません。

T−4Q.新型インフルエンザの世界的な流行(パンデミック)を阻止することはできないのですか。
A.パンデミックを阻止することは世界的にも非常に困難であると考えられていますが、最近の研究では、新型インフルエンザの発生の初期で、その範囲が限られている場合においては、抗インフルエンザウイルス薬の内服と移動制限を行うことで、流行の拡大を遅らせ、次の対策を講じることができることになります。しかし、これまで世界中で経験がないことなので、どの程度成功するかは未知数です。初めて発生する地域で、その発生をいかに早期に発見し、適切な対策をとることが大切です。
 我が国の対策については、「新型インフルエンザ対策行動計画」に示されています。

T−5Q.新型インフルエンザが全国的に流行した場合に、どのくらいの人が感染すると予測されるのですか。
A.米国疾病管理センターの計算式に日本をあてはめると、新型インフルエンザが全国的に流行した場合、約1/4の人が感染すると予想され、また、医療機関を受診する患者数は最大で2500万人と推定されています。

T−6Q.国は新型インフルエンザの流行に対してどのような準備をしているのですか。また、流行した場合、どのような対策をとるのですか。
A.厚生労働省では、平成17年10月、国民への正確な情報の提供、予防や治療など、その流行状況に応じた対策を総合的に推進するため、厚生労働大臣を本部長とする「新型インフルエンザ対策推進本部」を設置しました。同時に、厚生労働省では、「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定し、新型インフルエンザの発生状況に合わせた具体的な対策を講じることとしています。

■ U.鳥インフルエンザと新型インフルエンザ

U−1Q.鳥インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザとはどのような病気ですか。
A.インフルエンザウイルスは、自然界においてカモ、アヒルなどの水鳥を中心とした多くの鳥類に感染します。それを鳥インフルエンザといいます。また、鳥インフルエンザのなかでも、ニワトリ、カモなどが死亡してしまう重篤な症状をきたすものを高病原性鳥インフルエンザといいます。その原因となるウイルスは高病原性鳥インフルエンザウイルスといわれています。鳥インフルエンザおよび高病原性鳥インフルエンザについては国立感染症研究所情報センターホームページ(URL;http://idsc.nih.go.jp/index-j.html)を参照ください。

U−2Q.鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)ウイルスがヒトに感染した例はありますか。
A.鳥インフルエンザウイルスは、通常ヒトに感染することはありませんが、近年、図1のように(図は略)、ヒトにおける高病原性鳥インフルエンザ発症事例が報告されています。これまで、タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジアを中心に、132人が発症、68人の死亡者がでています(2005年11月25日現在)。

U−3Q.鶏肉や鶏卵を食べて、鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)に感染することはありますか。
A.鳥インフルエンザについては、これまで、鶏肉や鶏卵を食べることによって、ヒトに感染したという事例の報告はありません。このため、食品衛生の観点からは、鶏卵や鶏肉について特段の措置は必要ないものと考えられます。
なお、鶏卵を「生(なま)」で食べることが健康を損なうおそれがあるとの報告はこれまでありませんが、不安の方は、加熱(WHOの食中毒防止のための加熱条件:中心部70℃、瞬間)することをお勧めします。鶏肉は十分加熱して食べてください。未加熱又は加熱不十分なままで食べることは、食中毒予防の観点からお勧めできません。
 また、食品安全委員会も、平成16年3月に、鶏肉や鶏卵は「安全」とする見解を示しています。詳細は、食品安全委員会ホームページをご参照ください。

U−4Q.鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)と新型インフルエンザとはどのような関連があるのですか。
A.鳥インフルエンザウイルスが新型インフルエンザになるには、2つの仕組みがあります。
ひとつの仕組みは、鳥インフルエンザウイルスがヒトや鳥類の体内で変異し、ヒトからヒトへ感染するウイルス(新型インフルエンザウイルス)になることです。もうひとつの仕組みは、ヒトやブタに、ヒトのインフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスが同時に感染し、それぞれが混ざり合い、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザウイルスになることです。
■ 外的衝撃で起こる心室細動 心臓震盪 (2005年 12月 13日 11:35)
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 胸にボールなどが当たった結果、心室細動が出現するのが、心臓震盪と呼ばれる病態。心臓に異常が認められない健康優良児であっても、突然死をきたすことがある。胸骨や肋骨が比較的柔らかい小学生から高校生までに多く、わが国では、1997年から2004年までの間に心臓震盪で13人が死亡したことが明らかになっている。1)
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平成17年2月から5月にかけて北国新聞の「医師の目 人の眼 ハートが大切」を執筆された東京都済生会中央病院副院長三田村秀雄先生は、その記事の中で「胸に受けた球で突然死」を紹介している(北国新聞平成17年2月28日)2)。
朝日新聞(平成17年7月17日)3)には、「昨年8月、徳島と福島で、投球と打球をそれぞれ胸に当て選手が亡くなる事故があった。いずれも、胸への衝撃によって心臓の筋肉がけいれんする心室細動が起き、致死的な状況に陥る「心臓震盪」が原因と見られている。今年2月には、仙台地裁で、キャッチボールで誤って他人の胸に球を当て、心臓震盪を引き起こした小学生2人の両親に約6070万円の損害賠償を命じる判決を下し、社会問題としても認知され始めた。この様な高校球児の死亡事故が続いたのをきっかけに、日本高野連が第87回全国高校野球大会(平成17年8月)に向けて、心臓による突然死の対策として、自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillation)の導入を決定した。」と報道されている。
石川県教育委員会は金沢市を除く公立の全小中高校を対象に、心臓に電気ショックを与える「自動体外式除細動器」(AED)の講習会を開き、教員の救急救命力を高める。昨年から一般市民の使用が可能となったことを受けて、各校一人以上の講習会出席を義務付け、適切な使用方法を修得させる。空港などで設置が進むAEDは、突然の心臓停止に効果的な治療法とされ、修学旅行などでの「トラブル」に備える。金沢市立の学校は、市教育委員会が市消防本部と連携して個別に取り組んでいる、という(北國新聞:平成17年7月19日)4)。
 Nikkei Medical 2005年10月号15頁 1)には、「外的衝撃で起こる心室細動 心臓震盪」と題し、心臓震盪について次のような記事が掲載されている。
「心臓震盪による心室細動の発生には、@強さA位置Bタイミング の3つの要素が関与している。強さは、胸骨や肋骨の柔らかさと衝撃物の硬さに左右される。胸骨や肋骨が柔らかい場合や衝撃物が硬い場合は、衝撃が直接的に心臓に伝わりやすい。そして衝撃物が心臓に近い胸部全面の中央からやや左側に当たった場合に心室細動が起きやすい。
 更に、衝撃物の当たるタイミングが心電図上のT波頂点の10〜30msec手前、すなわち心臓の収縮途中に衝撃物が当たった場合、先行するT波にR波が重なって(R on T型)心室細動を起こす。
 これら3つの条件がすべてそろう確率はかなり低いと考えられる。だが戸田中央病院救急部部長の輿水健治氏は『心臓震盪は決して珍しい病態ではない』と強調する。一回の拍動で心臓震盪が起こる確率は2%(20/1000秒)にすぎないが、運動中は心拍数が上がるため、頻度が増すからだ。
 心臓震盪は野球のボール(軟球も含む)が当たって引き起こされるケースが最も多く、ホッケーのパックやラクロスのボール、空手の膝蹴りなどが当たっても起きている。
 しかし、東京都済生会中央病院副院長の三田村秀雄氏は『胸部に衝撃をもたらすものは、スポーツだけに限らない』と話す。けんかや幼児虐待による死亡にも、この機序が関与しているとの指摘もある。だが、『心臓震盪により死に至った場合、行政解剖を行っても胸部の皮膚に打撲の跡があるだけで、心臓の異常は認められないため、正確な死亡診断が付かない可能性がある』と三田村氏。
 実際、国内での心臓震盪の実態はまだ分かっていない。治療上の問題もある。心臓震盪には、AEDによる除細動しか有効な方法がないが、AEDの適用は8歳以上に限られている。現在、厚労省では小児用AED電極パッドの認可に向けて検討を進めている。」
参考資料
1)外的衝撃で起こる心室細動 心臓震盪:Nikkei Medical 2005年10 月号15頁
2)三田村秀雄:北國新聞 平成17年2月28日
3)朝日新聞:平成17年7月17日
4)北國新聞:平成17年7月19日
■ 「妊娠と薬情報センター」の設置について (2005年 11月 11日 01:29)
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厚生労働省医薬食品局安全対策課は、報道資料として、「平成17年10月3日(月)から国立成育医療センター内に『妊娠と薬情報センター』を設置し、服薬による影響について相談・情報収集事業を開始する(平成17年9月28日付)」と発表しています。なお、設置当初(平成17年度中)は、試験的に相談業務の対象地域を世田谷区としています。
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 発表内容はhttp://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/09/h0928-4.htmlで閲覧できます。
その内容はは次の通りです。
 「 『妊娠と薬情報センター』の設置について
1.概要
 平成17年10月3日(月)から、国立成育医療センタ−内に『妊娠と薬情報センタ−』を設置し、服薬による影響について相談・情報収集事業を開始する。
2.経緯
 医薬品の胎児への影響については、必ずしも十分な情報がないことなどから、服薬による影響の相談・情報収集について、平成17年1月から3回にわたり『妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会』を開催したところであり、各分野の委員からの意見を踏まえ、今般、『妊娠と薬情報センター』を設置し、相談窓口を設置するとともに出生児に関する情報を収集するための仕組みを構築する事業を開始するものである。
3.具体的な事業内容
(1)国立成育医療センターに『妊娠と薬情報センター』を設置する。
なお、設置当初(平成17年度中)は、試験的に相談事業の対象地域を世田谷区とすることとする。
(2)上記の『妊娠と薬情報センター』において
・服薬による影響を心配する妊婦又は妊娠を希望する女性からの主治医を通じた相談及び対面相談を受ける相談事業を開始する。
・相談事業を通じて、妊婦の同意・協力を得て出生児に関する情報を収集・蓄積する。
【参考】『妊娠と薬情報センター』の連絡先
住所:〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1 国立成育医療センター内
TEL:03-5494-7845(代表)
FAX:03-3415-0914
ホームページ:http://www.ncchd.go.jp/
※:上記TEL及びFAXは、平成17年10月3日に開設予定 」
となっています。

ホームページ:http://www.ncchd.go.jp/ を開きますと、国立成育医療センターのホームページ(平成17年11月4日更新)を閲覧できます。その中の、「妊娠と薬情報センター」をクリックすると、「妊娠と薬情報センターとは?」の画面を閲覧できます。
 妊娠と薬情報センター事業の、今後の全国展開が期待されます。

■ 食品安全委員会 大豆イソフラボンの1日摂取目安量を再審議 (2005年 10月 21日 10:34)
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 「揺らぐ大豆イソフラボン 食品安全委員会 摂取目安を再審議「取りすぎ」体に悪影響」という見出しで、健康によいと注目されている大豆イソフラボンの1日摂取目安量について食品安全委員会で再審議されていることが、朝日新聞(平成17年9月23日)に報道されている。1)
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 大豆イソフラボンは、大豆、主に大豆胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種であり、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3種類の非配糖体(イソフラボンアグリコン)とそれぞれに3種類の配糖体(ゲニスチン、ダイズイン、グリシチン)が知られている。
味噌、納豆等の大豆発酵食品中にはイソフラボンアグリコンが多く含まれるが、ほとんどの場合、食品中でイソフラボンは配糖体として存在している。これまでに、大豆イソフラボン配糖体を関与成分とする清涼飲料形態の特定保健用食品が既に許可され、販売されているが、今般、イソフラボンアグリコンを関与成分とする食品及びイソフラボン配糖体を関与成分とする錠剤形態の食品について、新たに特定保健用食品としての安全性評価が行われ、その結果が案として専門調査会から報告(平成17年4月)されている。2)
大豆製品に含まれるイソフラボンは、主なものとしてゲニスチン(配糖体)約60%、ダイズイン(配糖体)は約30%、これらは腸内細菌叢で加水分解(βグルコシダーゼにより)され、それぞれゲニステイン(アグリコン)とダイゼイン(アグリコン)となり、更に腸内細菌叢の酵素によりゲニステインは6-ハイドロキシ-O-DMAやジハイドロゲニステインに、ダイゼインはO-DMAやイコールに代謝されます。この中でイコールのみがエストロゲン作用を持つことが知られている。従って、大豆イソフラボン配糖体を摂取した場合、その中のダイズインのみが腸内細菌叢での加水分解と酵素による代謝でイコール(エストロゲン活性有)へ変換されることになる。2)
平成17年9月28日に、NHKの“ためしてガッテン”で「豆乳!うわさの大検証」が放送された。その中で、専門家の解説として「『イコールができなければイソフラボンに期待できない』というわけではないが、イコールができる人とそうでない人とでは、効果の出方に大きな差があるということが判明しつつあります。イコールができる人とできない人が分かれるのは、イコールを作りやすい腸内細菌がいるかどうかという違いが原因です。これは食生活によって変わる可能性があります。」と解説している。3)
大豆イソフラボンは、構造が女性ホルモンのエストロゲンによく似ている。このため体内でエストロゲンと同様の作用をすることが期待され、更年期にエストロゲンの減少で進行する骨粗鬆症などの予防に有効とされる。だが過剰に摂取すれば、内分泌かく乱作用などの懸念もある。同委員会の専門調査会は、疫学や実験のデータをもとに安全性に問題のない摂取量の目安を議論してきた。専門委員会が4月に示した摂取量の目安案は、アグリコンの量として、男性1日当たり70mg、閉経前の女性はアグリコンの量として59mg、閉経後の女性は同71mgであった。一方、国民栄養調査(02年)による主な大豆食品100g中のアグリコンの平均含有量は、みそ49.7mg、納豆73.5mg。目安案は「日常的に食べている豆腐や納豆などの伝統的な大豆食品による摂取量では安全性への懸念はない」とした。だが、4、5月、一般の意見を求めたところ、「納豆は1パックが40〜50gだから、2パック程度で超えてしまう」「大豆食品の食べ過ぎで影響が出たなどは聞いたことがない」といった指摘がなされた。その後、専門調査会は、日常的な食生活に上乗せして摂取するアグリコンの量として、エストロゲン製剤1錠分に相当する「26mg以内」とする修正案を出したが、結論は出ず、現在も審議が続いている。1)2)
現時点では、エストロゲン製剤の服用患者について、特定保健用食品などの大豆イソフラボン製品の摂取量については大量にならぬようチェックが求められる。
参考資料
1)朝日新聞 平成17年9月23日
2)大豆イソフラボンの安全性評価について(案):新開発食品専門調査会 平成17年4月
;内閣府食品安全委員会:意見募集
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/iken-kekka/kekka.html
3)ためしてガッテン;豆乳!ウワサの大検証(2005年9月28日放送)
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2005q3/20050928.html

■ 「あなたの食事は大丈夫? 食事バランスガイドの活用を!」平成17年度食生活改善普及運動がスタートしました (2005年 10月 07日 12:55)
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 厚生労働省健康局は、通知「平成17年度食生活改善普及運動の実施について」を都道府県、政令市、特別区、市町村及び関係団体に発出し、平成17年度食生活改善普及運動をスタートさせました。平成17年10月1日(土)から同月31日(月)までの1カ月間を食生活改善普及月間。
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 本年6月には、これまで普及・定着に努力していた「食生活指針」をより具体的な行動に結びつけるために、「何を」「どれだけ」食べればよいかを示した「食事バランスガイド」が厚生労働省及び農林水産省との協働で策定されました。
 平成17年度食生活改善普及運動は、正しい食生活の実践のための「食事バランスガイド」を活用し、「食生活指針」の普及・定着を図るとともに、国民一人ひとりの食生活改善に対する自覚を高め、日常生活での実践を促進するために、平成17年10月1日(土)から同月31日(月)までの1カ月間を食生活改善普及月間として展開するものです。
平成17年度食生活改善普及運動の要点は次のようなものです。
○名称
 平成17年度食生活改善普及運動
○趣旨
栄養・食生活においては、食生活を取り巻く環境の変化から、加工食品や外食への過度の依存、食卓を中心とした家族団らんの喪失が見受けられるほか、男性の肥満や若い女性のやせの増加など、正しい食生活についての認識が低下していると考えられる。このため、文部科学省、厚生労働省及び農林水産省において「食生活指針」の普及・定着に向け、各種事業の推進を行っており、さらに本年6月には「食生活指針」をより具体的に行動に結びつけるために、「何を」「どれだけ」食べればよいかを示した「食事バランスガイド」を厚生労働省及び農林水産省との協動により策定したところである。これらの状況を踏まえ、正しい食生活の実施のための「食事バランスガイド」を活用し、「食生活指針」の普及・定着を図るとともに、国民一人ひとりの食生活改善に対する自覚を高め、日常生活での実践を促進するために展開する。
○実施機関
 厚生労働省、本運動の趣旨に賛同する都道府県、政令市、特別区、市町村及び関係団体
○実施期間
 平成17年10月1日(土)〜10月31日(月)
○統一標語
 「あなたの食事は大丈夫? 食事バランスガイドの活用を!」
○重点活動の目標
 特に、30歳〜60歳代男性の肥満傾向にある者、単身者、子育てを担う世代を対象とする。
・30〜60歳代男性の肥満傾向にある者
(1)食事はバランスよく、夕食は軽めに。
(2)油を使った料理は控えめに。
(3)野菜はもっと食べましょう。副菜は5つ。
・単身者
(1)食事が基本。健康は食事から。
(2) 朝食は欠かさず。
(3)外食・中食でも、もっと野菜料理を。
・子育てを担う世代
(1)食事はバランス良く。親子で楽しく。
(2)朝食は欠かさず。
(3)めざせ。野菜大好き。
○重点活動の内容
(1)「食事バランスガイド」等を活用し、食生活の問題点を明確にし、日々の活動に見合った主食、副菜、主菜の食事量を示し、適正摂取を楽しく継続させるため食生活改善の意欲が増すような支援を行う。
(2)BMI(Body Mass Index)やウエスト周囲径測定の普及とともに、内臓肥満や糖尿病等のメタボリックシンドロームに関する理解を深め、標準体重などから自分の体型に対する自己評価が正しく行えるようにする。
(3)野菜料理などの副菜の摂取量が少ないことを気づかせ、野菜の摂取量を増やすための料理選択の工夫を、対象の特性に応じて支援を行う。
(4)単身者など朝食を欠食しがちな単身者等については、簡単にできる朝食の組合せなど、日常生活のなかで実践できるような支援を行う。
(5)肥満が気になる者には、エネルギーと脂質との関係を理解し、油を多く使った料理を知り、日常生活のなかで油の摂取量を控えるための工夫ができるように食生活の支援を行う。
(6)肥満又は過度のダイエット志向の者に対して、食生活と運動の両面からのプログラムを提供するとともに、その実践が継続できるように支援する。
○活動の方法(略)
○関係機関の役割(略)
☆食事バランスガイドに関するホームページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
 以上の詳細については、引用資料を参照して下さい。

引用資料
厚生労働省:平成17年度食生活改善普及運動の実施について
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/09/tp0901-3.html
■ コエンザイムQ10の1日の安全な摂取目安量について (2005年 09月 12日 22:59)
 平成17年8月24日付けの薬事日報に次のようなコエンザイムQ10に関する記事が掲載されています。
「コエンザイムQ10については、健康被害との因果関係は不明であるが、これを含有する食品を摂取して、消化器症状を呈したとの健康被害報告が寄せられている。こうした点を踏まえ厚労省は日本健康・栄養食品協会(日健栄養協)に対し、2003年11月に注意喚起表示を含む食品規格基準の設定を検討するよう求めていた。日本健康・栄養食品協会は、データ収集するなどした結果、1日摂取目安量として300mgまで安全であるというデータを得たため、1日摂取目安量の上限値を300mg以下にしたいとの中間報告を同省に行った。厚労省はこれを踏まえ、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼した。今後は食品安全委員会が意見を聴いた後、関係業界などに評価結果を通知することになる。」
また、独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページの「健康食品の素材情報データベース「コエンザイムQ10」の欄(2005/8/26記事更新)」には次のような記載もみられます。
「経口摂取でコエンザイムQ10は一般的に高用量でも副作用のでにくい物質である。ヒト臨床研究では有意な副作用は認められていない。コエンザイムQ10は軽度の副作用を引き起こす可能性はある(胃の不調が0.39%、食欲不振が0.23%、吐き気が0.16%、下痢が0.12%の人で見られた。)1日当たり100mgを超える量を摂取する場合、2〜3回に分けて摂取することで副作用を最小限に抑えることができる。」
参考資料
1)「CoQ10の健康影響を評価 厚労省が食品安全委に依頼 日健栄養協「薬の10倍量で安全」」:薬事日報 平成17年8月24日より
2)独立行政法人国立健康・栄養研究所ホームページ:http://hfnet.nih.go.jp/main.php
■ 糖尿病予防対策における厚生労働省の5カ年計画 (2005年 07月 22日 14:19)
 平成17年6月20日の朝日新聞に「ストップ・ザ・糖尿病 9000人調査 厚労省5年計画 IT活用」という見出しで、厚労省の糖尿病予防対策が次のように紹介されています。
 「生活習慣の変化や高齢化で糖尿病患者が増えていることから、厚生労働省は予防対策などを強化するため、9100人を対象にした大規模な研究に乗り出す。発症者の半減など目標値を掲げ、IT(情報技術)を使った生活習慣の管理などに取り組み、どれだけ効果があるかを探る。研究期間は5年間。」
 その研究の概要については、厚労省のホームページ「厚生労働省:戦略研究の創設にかかる検討状況(報告)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0318-8h.html に掲載されています。以下のとおりです。
糖尿病予防対策研究〔Japan Diabetes Outcome Intervention Trial : J-DOIT〕
■研究課題名:J-DOIT 1
アウトカム(成果目標):耐糖能異常から糖尿病型への移行率が半減する介入方法の研究
研究方法:「対象」;地域・職域検診の要指導者で30-64歳の耐糖能異常4500名。全国で20グループを編成。対面型個別指導群、非対面型(IT活用)個別指導群、集団指導(対照)群に無作為割付。「介入方法、精度管理、収集データ」;対面またはIT活用等による生活習慣(食事・身体活動中心)介入プロトコールを定めて実施。医学的検査は登録時、最初の6ヶ月間は月1回、それ以降は3ヶ月毎に実施。「分析方法、その他」;登録者全員を解析対象とする。「その他必要事項」;サンプルサイズの縮小、研究グループ単位で審査、予算規模
■研究課題名:J-DOIT 2
アウトカム(成果目標):糖尿病患者の治療の中断率が半減する介入方法の研究
研究方法:「対象」;都市部(人口10-20万程度)に在住し、かかりつけ医で治療するU型糖尿病患者。糖尿病診療達成目標を地区医師会全体で共有し、目標達成のための支援としての『患者指導コメディカル派遣・IT診療支援群』『対照群』に割付。「介入方法、精度管理、収集データ」;初年度は数地区でパイロット研究を行い、本試験の手法および実施可能性等について検討する(約1600人)。医学的検査・治療の実施率は、登録時、約3ヶ月ごとに測定。「分析方法、その他」;登録全地域・患者全員を解析対象とする。「その他必要事項」;パイロットスタディ、糖尿病診療達成目標(共通)の作成、患者指導コメディカルの訓練・派遣方法整備、IT診療支援システム開発・実証試験
■研究課題名:J-DOIT 3
アウトカム(成果目標):糖尿病合併症の進展を30%抑制する介入方法の研究
研究方法:「対象」;HbA1c≧7.0%U型糖尿病で、収縮期血圧≧140または拡張期≧90mmHgかつ脂質代謝異常のある40-69歳の3000名。強化治療群、通常治療群に無作為割付。「介入方法、精度管理、収集データ」;生活習慣(減量、食事、運動、禁煙)、血圧、脂質、血糖への介入方法を定めて実施。医学的検査は登録時、定期的来院時、1年ごと。「分析方法、その他」;登録者全員を解析対象。「その他必要事項」;中央検査項目の選定、モニタリングネット整備、中断者の要因・動態分析
参考資料
朝日新聞「ストップ・ザ・糖尿病 9000人調査 厚労省5年計画」: 平成17年6月20日
厚生労働省ホームページ:「戦略研究の創設にかかる検討状況」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0318-8h.html
■ プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス (2005年 07月 15日 11:57)
 藤山佳秀らは、薬事日報第10088号(平成17年7月4日)にプロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスという用語について、
「プロバイオティクスという語句は、1965年Lillyらにより初めて用いられたものであり、ギリシャ語の「生命の益になるもの=for life」を語源にしている。Fullerは「腸内細菌叢を変化させることにより生態に有益な効果をもたらす生きた微生物」と定義している。乳酸菌、ビフィズス菌などがある。プレバイオティクスは、プロバイオティクスとなる生菌の発育を促し、間接的に宿主に有益な作用をもたらすことを特徴としている。食物繊維やオリゴ糖などがこれにあたる。これらは、単独でも血清脂質や血糖の低下作用を有しているが、さらにプロバイオティクスとなる生菌の発育を促すことによりプロバイオティクスの作用をあわせもっている。
プレバイオティクスとプロバイオティクスを同時に用いることは、シンバイオティクス(Synbiotics)とよばれている。両者を同時に用いることにより、プロバイオティクス単独よりも、より増強した作用が得られるものと注目される」と解説しています。
平成17年7月6日付けの薬局新聞には「わかもと製薬研究報告:キシリトールとクランベリーが乳酸菌WB21増強」という見出しで、乳酸菌WB21は口腔内病原菌増殖抑制作用を示すが、キシリトールとクランベリーの併用により乳酸菌WB21の口腔内病原菌増殖抑制作用がより増強されたことが明らかになった、と報告されています。これもシンバイオティクスといえるかもしれません。
引用
藤山 佳秀、佐々木雅也:薬事日報 第10088号21頁 平成17年7月4日より
薬局新聞 平成17年7月6日号10頁
■ 「規格基準型特定保健用食品」9関与成分の基準が了承されました (2005年 05月 10日 13:58)
 厚生労働省は、医薬食品局長通知(薬食発第0201001号;平成17年2月1日付け)「『健康食品』に係る制度の見直しについて」のなかで、「特定保健用食品(規格基準型)制度の創設」を発表しています。この「規格基準型」について、特定保健用食品の許可件数が多い食品等科学的根拠が蓄積したものについては、許可手続きの迅速化のため、新たに規格基準を作成し、薬事・食品衛生審議会における個別審査を行わず、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室において規格基準に適合するか否かの審査を行うこととした、と解説しています。
 薬事日報(平成17年4月27日付け)は、薬事・食品衛生審議会新開発食品調査部会が9関与成分の基準を了承し、「規格基準型特保」が動き出したと報道しています。同紙は、規格基準型特保について、既に許可を受けている特保の中から、
@保健の用途ごとに分類したグループの許可件数が100件を突破
A関与成分の最初の許可から6年が経過
B複数企業が許可を取得
というスクリーニング基準を満たすものについて、規格基準を作成し許可する制度である。ただし有効性・安全性が事務局(厚労省)で判断できないものは、通常の個別審査が行われる、としています。
 今回、スクリーニング基準を満たし、規格基準が作成されたのは、
保健用途として「お腹の調子を整える」旨を表示するもののうち、
食物繊維区分の @難消化性デキストリン、Aポリデキストロース、Bグアーガム分解物
オリゴ糖区分の C大豆オリゴ糖、Dフラクトオリゴ糖、E乳果オリゴ糖、Fガラクトオリゴ糖、Gキシロオリゴ糖、Hイソマルトオリゴ糖
の9成分。
参考資料:
医薬食品局長通知(平成17年2月1日付け)「健康食品」に係る制度の見直しについて
厚生労働省ホームページ:
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/topics/050131/index.html
薬事日報:平成17年4月27日
■ カリウムの食事摂取基準:目安量と高血圧予防を目的とした目標量 (2005年 05月 05日 01:58)
 毎週水曜日に放映されている“ためしてガッテン”を見ておられる方は多いと思います。
2005年4月13日に「★大誤解! ミネラル不足の新事実」というテーマで、4月から新しくなった「日本人の食事摂取基準」の中のカリウムの食事摂取基準を取り上げています。
 放映の中では、
 「足りている?足りてない?カリウムの謎」として、「これまでの基準では、カリウムは1日当たり2000ミリグラム必要であるとされてきました(所要量)。日本人の平均摂取量は1日当たり2389ミリグラムで、実は十分満たしてきたのです。一方、新基準では、目指すべき摂取量は1日当たり3500ミリグラムになりました(生活習慣病予防の観点からみた望ましい摂取量)。」と紹介されています。放映では、さらに続けて「高血圧予防に!無駄を承知でカリウムたっぷり」として、「以前の摂取基準で、カリウムが1日当たり2000ミリグラムで十分といわれたのは、ナトリウム(摂取)が多すぎない場合の数値です。ところが人間が体質として「塩がおいしいい」と感じる限り、減塩はとても難しいといえます。そこで4月からの新基準では、ナトリウムと一緒に排泄されることも前提に、「1日当たり3500ミリグラム摂取することが望ましい」と述べられています。
 これを「日本人の食事摂取基準 2005年版」で調べてみました。以下の通りです。
・・・・・・目安量(mg/日)・・・・・・・・・・・・・・高血圧予防を目的とした目標量(mg/日)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・生活習慣病予防の観点からみた望ましい摂取量・・目標
年齢・・・・・・男性・女性・・・・・・・・・・・・・ 男性・女性・・・・・・・・・・・ 男性・女性
18-29歳・・2,000/1,600・・・・・・・・・・・・ 3,500/3,500・・・・・・・・・・ 2,800/2,700
30-49歳・・2,000/1,600・・・・・・・・・・・・ 3,500/3,500・・・・・・・・・・ 2,900/2,800
50-69歳・・2,000/1,600・・・・・・・・・・・・ 3,500/3,500・・・・・・・・・・ 3,100/3,100
≧70歳・・・2,000/1,600・・・・・・・・・・・・ 3,500/3,500・・・・・・・・・・ 3,000/2,900
(注)生活習慣病予防の観点からみた望ましい摂取量:米国高血圧合同委員会第六次報告が高血圧予防のために、3,500mg/日を摂ることが望ましいとしている値。高血圧の第一次予防を積極的に進める観点からは、この値が支持される。

 平成17年度から平成21年度の5年間使用する「日本人の食事摂取基準(005年版)」は、平成16年10月25日に「日本人の栄養所要量−食事摂取基準−策定検討会」(座長)田中平三 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長)においてとりまとめられた。
参考資料
nhkホームページ: http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2005q2/20050413.html
日本人の食事摂取基準(2005年版):医歯薬出版株式会社 11頁
■ コラーゲンの安全性と機能性について (2005年 04月 15日 15:43)
 表題について、国立健康・栄養研究所のホームページで石見佳子氏(国立健康・栄養研究所 食品表示分析・規格研究部)の論文を見つけましたので以下にその概略を紹介します。
 コラーゲンが熱によって変性したものがいわゆるゼラチンです。ゼラチンをさらに加水分解して分子量を数千程度まで小さくしたものがコラーゲンペプチドで、近年いわゆる健康食品の素材として利用されています。
 通常タンパク質はアミノ酸まで分解された後、腸管で吸収されると考えられています。ところがコラーゲンペプチドは、大きな分子量のまま吸収されるという報告があります。
 Oesserらは、マウスに放射性同位元素で標識したコラーゲンペプチドを経口摂取させ、吸収されたコラーゲンペプチドを調べたところ、摂取されたペプチドの95%が12時間以内に吸収されること、また吸収されたペプチドの分子量は500-15,000(アミノ酸にすると5-150個)であることを報告しています。さらに、ペプチドの体内分布を調べたところ、皮膚、肝臓、腎臓、脾臓、筋肉、軟骨など全身に分布していましたが、特に軟骨には分子量の大きなペプチドが蓄積していたということです。近年、比較的大きな分子量のペプチドが小腸から吸収されるという報告がありますが、このメカニズムとして、ある特定の信号となるペプチドを持つタンパク質は、大きな分子量のまま吸収されること、また分子量の大きなペプチドは、小腸の細胞の間隙から吸収される可能性などが考えられています。
 美容効果
 コラーゲンを摂取することによって、コラーゲンの原料となるアミノ酸やペプチドを補給することは出来ますが、実際に皮膚の状態を改善する効果があるかについては、科学的に十分に証明されているわけではありません。
 関節疾患
 米国、英国及びドイツの患者を対象にした臨床試験では、6ヶ月間、1日10gのコラーゲンペプチドを摂取しても変形性関節症に伴う痛みに対しては改善効果が認められない事が明らかにされました。ただ、ドイツ人に限っては統計的に有意な差が認められたということです。日本では、健康食品として摂取したコラーゲンの関節炎に対する改善効果に関しては、まだ十分な科学データが得られていないのが現状とのこと。
 慢性関節リウマチ
 U型コラーゲンを薬として使用することを目的とした臨床試験の報告はありますが、健康食品による効果の報告はないとのことです。
 骨強度に対するゼラチンの作用
 Tanakaらは、閉経後骨粗鬆症モデル動物(OVX)を用いてゼラチンの骨強度に対する効果を観察しています。すなわち、OVXラットにゼラチン添加食(カゼイン10%+ゼラチン5%)を60日摂取させ、対照群(カゼイン15%)と比較したところ、明らかに大腿骨の破断強度が増強したと報告しています。一方、Koyamaらは10%のカゼイン食のうち4%をゼラチンで置き換えた食餌により、正常マウスの大腿骨骨密度が増加したこと報告しています。
 ヒト骨粗鬆症に対するコラーゲンペプチドの作用
 Adamらは、骨粗鬆症患者にカルシトニンと同時にコラーゲンペプチドを投与すると、カルシトニン単独に比べて骨吸収の指標になる尿中ピリジノリン排泄が低下することを確認していますが、ヒトの骨密度に対するコラーゲンペプチド摂取の効果に関しては殆ど科学的データがないため、今後さらに詳細に検討する必要があるとしています。
 石見佳子氏は、まとめとして、コラーゲンの摂取は、安全性については食経験からも大きな問題はないと考えられるが、機能性については科学的に十分に説明されていない面が多いため、今後さらに研究を進める必要があるとしています。
詳細については国立健康・栄養研究所ホームページ
 http://www.nih.go.jp/eiken/chosa/ishimi.htm  を参照ください。
■ メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とウエストサイズ (2005年 04月 12日 11:05)
内臓脂肪がたまると血糖や血圧、中性脂肪などが正常より高めになる。糖尿病や高血圧と診断されるほどではなくても、複数重なると動脈硬化が進行し心筋梗塞につながることが分かり、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼ばれるようになりました。これまでに、海外ではメタボリックシンドロームの診断基準が発表されていましたが、国内ではまだ発表されていませんでした。
 今回、日本動脈硬化学会や日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本肥満学会など8学会が内臓脂肪の新診断基準をまとめ、8日、日本内科学会で発表されました。
その診断基準は、内臓脂肪のたまり具合をウエストサイズで判断するもので、男性85cm、女性90cm以上を「要注意」とされています。
 メタボリックシンドロームの診断基準はこのウエストサイズに加えて、
@最高血圧が130以上または最低血圧が85以上
A空腹時血糖値が110以上
B中性脂肪が150以上かHDLコレステロールが40未満
 @からBの三項目のうち、二項目以上がこれに当てはまる場合をメタボリックシンドロームとされています。
参考資料
朝日新聞:平成17年4月9日
北国新聞:平成17年4月9日
■ 栄養情報担当者協会(NR協会)発足 (2005年 03月 14日 14:45)
健康食品について、生活者に正しい情報を提供する「栄養情報担当者(NR:Nutritional Representative)」の資格を持つ有志者の任意団体「栄養情報担当者協会:NR協会」が2月27日発足しました。既に、独立行政法人国立健康・栄養研究所理事の認定を受ける、栄養情報担当者;略称NRの認定制度が昨年、発足していますが、健康食品の適切な情報を消費者に提供する目的で栄養情報担当者(NR)の資格を持つ、薬剤師、医師、栄養士、保健士らで組織するNR協会が設立されました。NR協会の副会長には金沢市田上町「ナガサト太陽クリニック」の永里敦医師(金沢大学医学部卒)が就任されました。
NRについての問合せは独立行政法人国立健康・栄養研究所(TEL03-3203-5721)へ。

2005年2月21日、3月12日の朝日新聞、独立行政法人国立健康・栄養研究所ホームページ:http://www.nih.go.jp/eiken/info/nr_faq.htm から引用。
■ 家庭用心電計が登場 適正使用には医師の関与が不可欠 (2005年 03月 10日 01:26)
 医学雑誌Nikkei Medicalに「消費者が薬局・薬店で購入でき、測定した波形をその場で見られる携帯型心電計が登場している」ことが紹介されています。
 現在、消費者が自由に購入できる携帯型心電計は2種類とのこと。適正使用には医師の関与が不可欠であり、患者さんが、自分で測って医師に見せるためのツールという位置付けになっています。うまく使えば日常診療の強力な武器になる、と紹介されています。
参考資料
「普及始まる家庭用心電計」:Nikkei Medial 2005年2月号24-25頁
■ 高度先進医療 (2005年 03月 03日 01:16)
厚生労働省のホームページに「高度先進医療」について次のような記事が出ています。
 高度先進医療とは、新しい医療技術の出現や医療ニーズの多様化に対応して、先進的な医療技術と一般の保険診療の調整を図る制度です。
 保険診療をベースとして、別に特別な料金を負担することにより、先端的な医療を受けやすくしようというものです。この制度は昭和59年にスタートし、高度先進医療の種類、取り扱い病院ともに増加を続けていますが、普及性の高いものは、一般の保険診療に取り入れられています。
<大学病院などで受ける>
 平成17年2月現在で、承認された高度先進医療は104種類あります。そのいずれかを取り扱う病院は107で、各病院ごとに実施している高度先進医療を総計すると318件となっています。
 高度先進医療を行う病院は、高度な技術を持つ医療スタッフと、質・量ともに十分な施設・設備が必要です。高度先進医療を取り扱うのは、専門家や関係審議会でこうした条件を満たしていると認められた病院に限られます。
 条件を満たして高度先進医療の実施を承認された病院を「特定承認保険医療機関」といいます。その多くは大学病院ですが、病院ごとに取り扱う高度先進医療の種類が承認されることになっていますので、どこの病院でどんな種類の先進医療を受けられるか知っておくことがたいせつです。
<先進医療の特別料金を自費で負担>
 高度先進医療を受けた時の費用は、次のように取り扱われ、患者さんは一般の保険診療の場合と比べて、高度先進医療に係る費用(特別料金)を多く負担することになります。
1.高度先進医療に係る費用(特別料金)は、患者さんが自費で負担します。特別料金は、医療の種類や病院によって異なります。
2.特別料金以外の通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、健康保険の一般の保険診療と同様に扱われます。つまり、一般診療保険と共通する部分は特定療養費として保険給付され、高度先進医療に係る部分は自己負担となります。
その他、詳細については、参考資料を参照ください。
参考資料
厚生労働省ホームページ「高度先進医療」
http://www.mhlw.go.jp/topics/0106/tp0601-1.html
■ 疾病名である用語「痴呆」を改め「認知症」に (2005年 01月 10日 23:08)
  朝日新聞(平成16年12月25日付け)によれば、「痴呆」にかわる用語を議論している厚生労働省の検討会は24日、「認知症」が最適だとする報告書をまとめ、厚労省は同日から認知症を使うことにし、法律上の用語は05年の通常国会で関係法を改正する、と報じています。厚労省は今後、痴呆性高齢者を認知症高齢者に、痴呆性高齢者グループホームは認知症高齢者グループホームと改めるとしています。
 同検討会では、 代替用語の要件について
1.一般の人々にわかりやすく、できれば短いこと
2.不快感や侮蔑感を感じさせたり、気持ちを暗くさせたりしないこと。
3.「痴呆」と同一の概念をあらわすものであることについて疑義を生じさせず、混乱なく通用すること。
なお、「痴呆」の内容を正確にあらわし、他の疾病や状態と明確に区分できることは望ましいことではあるが、1ないし2のメリットのためには、正確性はある程度犠牲にされてもやむを得ないこと。
としていました。
参考文献
(1)朝日新聞 平成16年12月25日
(2)厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/

■ 生活習慣病の一時予防を専ら目的とした食事摂取基準 - 3. カルシウム (2005年 01月 01日 22:13)
平成17年度から平成21年度の5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、
生活習慣病予防に重点をおき以下の栄養素につき新たな指標「目標量」を設定されました。
・増やすべき栄養素:食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム
・減らすべき栄養素:コレステロール、ナトリウム(食塩)
・脂質については、脂肪エネルギー比率のみならず、その質も考慮する必要があり、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロールについても策定した。
「目標量」とは、生活習慣病の一次予防を専ら目的として食事摂取基準を設定する必要のある栄養素について設定されたものであり、生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量(または、その範囲)であると定義されています。
「目安量」とは、推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量、「上限量」とは、ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量である、とそれぞれ定義されています。
カルシウムの食事摂取基準(mg/日)は、以下のように設定されています。
・・・・・・・・・性別・・・・・・・・・・・・男性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女性 
・・・・・・・・・年齢・・・・・目安量・目標量・上限量・・・・目安量・目標量・上限量
・・0-5(月)母乳栄養児・200・・・・−・・・・・−・・・・・・・200・・・・−・・・・・ −
・・・・・・・人工乳栄養児 300・・・・−・・・・・−・・・・・・・300・・・・−・・・・・ −
・・6-11(月)母乳栄養児・250・・・・−・・・・・−・・・・・・・250・・・・−・・・・・ −
・・・・・・・人工乳栄養児 400・・・・−・・・・・−・・・・・・・400・・・・−・・・・・ −
・・・・・・・・・・・・1−2 歳 450・・・・450・・・・・ −・・・・・400・・・・400・・・・・−
・・・・・・・・・・・・3−5 歳 600・・・・550・・・・・ −・・・・・550・・・・550・・・・・−
・・・・・・・・・・・・6−7 歳 600・・・・600・・・・・ −・・・・・650・・・・600・・・・・−
・・・・・・・・・・・・8−9 歳 700・・・・700・・・・・ −・・・・・800・・・・700・・・・・−
・・・・・・・・・・ 10−11歳 950・・・・800・・・・・ −・・・・・950・・・・800・・・・・−
・・・・・・・・・・ 12−14歳 1,000・・・900・・・・・ −・・・・・850・・・・750・・・・・−
・・・・・・・・・・ 15−17歳 1,100・・・850・・・・・ −・・・・・850・・・・650・・・・・−
・・・・・・・・・・ 18−29歳・ 900・・・650・・・・・2,300・・・・700・・・・600・・・・2,300
・・・・・・・・・・ 30−49歳・ 650・・・600・・・・・2,300・・・・600・・・・600・・・・2,300
・・・・・・・・・・ 50−69歳・ 700・・・600・・・・・2,300・・・・700・・・・600・・・・2,300
・・・・・・・・・・ 70以上歳・ 750・・・600・・・・・2,300・・・・650・・・・550・・・・2,300
・・・・・・・・・ 妊婦(付加量) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・+0・・・・ −・・・・・−
・・・・・・・・ 授乳婦(付加量) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ +0・・・・ −・・・・・−
引用:厚労省ホームページ: http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2.html
■ 根拠限定的な健食の名称 「条件付き特保」で確定 (2005年 01月 01日 22:05)
 薬事日報(平成16年12月22日付け)によれば、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の表示・新開発食品調査合同部会が20日に開かれ、健康食品制度見直しの中で、「条件付き特定保健用食品」の名称が用いられることが確定した、と報道されています。
 「特定保健用食品(特保)」と「条件付き特定保健用食品(条件付き特保)」との違いは、現行の特保に比べ、(1)作用機序、(2)有効性を確認する試験の方法、の2方向から審査基準を緩和し、条件付き特保とする、とされていることです。すなわち、
 特定保健用食品:
(1)作用機序が明確、(2)ヒトにおける無作為化比較試験で、危険率5%以下
 条件付き特定保健用食品:
(1)作用機序は不明確(2)ヒトにおける無作為化比較試験で、危険率5%以下
または、
(1)作用機序は明確(2)ヒトにおける無作為化比較試験で、危険率5%を超え10%以下
または、
(1)作用機序は不明確(2)ヒトにおける無作為化比較試験で危険率5%を超え10%以下
または
(1)作用機序は明確(2)ヒトでの試験は非無作為化比試験である
となりました。
参考資料:薬事日報 平成16年12月22日
     厚労省ホームページ:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1220-7b.html
■ 生活習慣病一次予防のための食事摂取規準-4. コレステロール (2004年 12月 27日 00:03)
平成17年度から平成21年度の5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、
生活習慣病予防に重点をおき以下の栄養素につき新たな指標「目標量」を設定されました。
・増やすべき栄養素:食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム
・減らすべき栄養素:コレステロール、ナトリウム(食塩)
・脂質については、脂肪エネルギー比率のみならず、その質も考慮する必要があり、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロールについても策定した。
コレステロールの食事摂取基準(mg/日)は、以下のように設定されています。
・・・・・・・性別.・・・・・・・・男性・・・・・・女性 
・・・・・・・年齢・・・・・・・・目標量・・・・・目標量
・・・・・・18-29 歳・・・・・750未満・・・・600未満
・・・・・・30-49 歳・・・・・750未満・・・・600未満
・・・・・・50-69 歳・・・・・750未満・・・・600未満
・・・・・・70以上歳・・・・・750未満・・・・600未満
・・・・・・・・妊婦・・・・・・・・・・・・・・・・・600未満
・・・・・・・授乳婦・・・・・・・・・・・・・・・・・600未満
注:10歳以上で、血中LDL-コレステロール値が高い場合、
動脈硬化が進行する可能性があるので、コレステロール
摂取量の制限を含めた対策がのぞまれる。
引用:厚労省ホームページ: http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2.html
■ 生活習慣病の一次予防を専ら目的とした食事摂取基準 - 2. n-3系脂肪酸 (2004年 12月 21日 13:19)
 平成17年度から平成21年度の5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」(第7次)は、平成16年10月25日に「日本人の栄養所要量−食事摂取基準−策定検討会」(座長:田中平三 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長)においてとりまとめられました。
 従来の食事摂取基準(第6次)からの見直しのポイントとして、
生活習慣病予防に重点をおき、以下の栄養素について新たな指標「目標量」を設定した。
・ 増やすべき栄養素:食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム
・ 減らすべき栄養素:コレステロール、ナトリウム(食塩)
・ 脂質については、脂肪エネルギー比率のみならず、その質も考慮する必要があり、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロールについても策定した。
「目標量」とは、生活習慣病の一次予防を専ら目的として食事摂取基準を設定する必要のある栄養素については、「目標量」を設定した。この目標量は、生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量(または、その範囲)である。
「目安量」とは、推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量、と定義されています。
n-3系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)は、以下のように設定されています。
    性別・・・・・・・・・・・・・男性・・・・・・・・・・・・・・・・女性・・・ 
    年齢・・・・・・・・目安量・・目標量・・・・・・・目安量・・目標量    
    0−5(月)・・・・・・・ 0.9・・・・・−・・・・・・・・・・・0.9・・・・・−・・・
   6−11(月)・・・・・・・ 1.0・・・・・−・・・・・・・・・・・1.0・・・・・−・・・
    1−2 歳・・・・・・・・1.1・・・・・−・・・・・・・・・・・1.0・・・・・−・・・
    3−5 歳・・・・・・・・1.5・・・・・−・・・・・・・・・・・1.5・・・・・−・・・
    6−7 歳・・・・・・・・1.6・・・・・−・・・・・・・・・・・1.6・・・・・−・・・
    8−9 歳・・・・・・・・1.9・・・・・−・・・・・・・・・・・2.0・・・・・−・・・
   10-11 歳・・・・・・・・2.1・・・・・−・・・・・・・・・・・2.1・・・・・−・・・
   12-14 歳・・・・・・・・2.6・・・・・−・・・・・・・・・・・2.6・・・・・−・・・
   15-17 歳・・・・・・・・2.8・・・・・−・・・・・・・・・・・2.3・・・・・−・・・
   18-29 歳・・・・・・・・− ・・・ 2.6以上・・・・・・・・ −・・・・2.2以上
   30-49 歳・・・・・・・・− ・・・ 2.6以上・・・・・・・・ −・・・・2.2以上
   50-69 歳・・・・・・・・ −・・・ 2.9以上・・・・・・・・・ −・・・・2.5以上
  70以上歳・・・・・・・・ −・・・ 2.2以上・・・・・・・・・ −・・・・2.0以上
    妊婦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.1・・・・−・・・
   授乳婦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.4・・・・−・・・
n-3系脂肪酸:C18:3, C18:4, C20:4, C20:5, C22:5, C22:6
引用:厚労省ホームページ: http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2.html
■ 生活習慣病の一次予防を専ら目的とした食事摂取基準 - 1.食物繊維 (2004年 12月 16日 14:58)
 平成17年度から平成21年度の5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」(第7次)は、平成16年10月25日に「日本人の栄養所要量−食事摂取基準−策定検討会」(座長:田中平三 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長)においてとりまとめられました。
 従来の食事摂取基準(第6次)からの見直しのポイントとして、
生活習慣病予防に重点をおき、以下の栄養素について新たな指標「目標量」を設定した。
・増やすべき栄養素:食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム
・減らすべき栄養素:コレステロール、ナトリウム(食塩)
・脂質については、脂肪エネルギー比率のみならず、その質も考慮する必要があり、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロールについても策定した。
と述べられています。
 ここで言われている「目標量」とは、生活習慣病の一次予防を専ら目的として食事摂取基準を設定する必要のある栄養素については、「目標量」を設定した。この目標量は、生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量(または、その範囲)である、と定義されています。

食物繊維の食事摂取基準(g/日)については、
「目安量」と「目標量」とが18歳以上の男女について以下のように設定されています。
性別・・・・・・・(男性)・・・・・・(女性) 
項目・・・・目安量/目標量:目安量/目標量    
年齢 
18−29歳・・・ 27/ 20・・・・・・21/ 17
30−49歳・・・ 26/ 20・・・・・・20/ 17
50−69歳・・・ 24/ 20・・・・・・19/ 18
70以上歳・・・ 19/ 17・・・・・・15/ 15
*目安量は、推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量、と定義されています。
引用:厚労省ホームページ: http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2.html
■ スギヒラタケ摂取による急性脳症について (2004年 12月 07日 13:16)
 厚生労働省は食安監発第1022003号(平成16年10月22日付け)により、スギヒラタケについて腎機能の低下している方への安全性が確立されるまでの間、これらの方々に対しスギヒラタケの摂取を控えるよう注意喚起を行いました。その後、新潟県から公表された急性脳症を疑う死亡例について照会したところ、腎機能障害の有無が不明であることが分かり、あらためて食安監発第1119001号(平成16年11月19日付け)にて腎機能障害の有無にかかわらず、安全性が確認されるまでスギヒラタケを摂取しないよう注意喚起する通知を都道府県に出しました。
 急性脳症を引き起こす可能性が問題になっている「スギヒラタケ」については、静岡大学農学部の河岸洋和教授らのグループは、同大の森田達也助教授の協力で、@スギヒラタケをすりつぶして水に溶かすA続いて100度で30分間煮沸するBさらに濾過して高分子と低分子に分ける、という方法で得た4つの成分を、それぞれマウスに与えた。@で6匹中5匹、Aで3匹全部死亡、Bでは、高分子成分を与えると3匹全部死んだのに対し、低分子成分は全部生き続けた(朝日新聞 平成16年11月29日)と報道されています。
 金沢大学薬学部の太田富久教授の研究ではスギヒラタケに、食用のキノコで見つかっていない種類の低分子化合物が含まれていることが明らかにされています。この化合物を含む液体をマウスに注射した実験では、マウスに変化は現れなかったが、低分子の化合物は血管を通じて脳内組織に浸透できるため、太田教授らは分子構造の特定を進め、脳症との関連について研究をさらに続ける(北国新聞 平成16年12月1日)、と報道されています。
参考資料:厚労省食安監発第1119001号
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/kanshi/dl/041119-1a.pdf
朝日新聞 平成16年11月29日
北国新聞 平成16年12月1日
■ 「新特定保健用食品制度に関する基準等策定のための行政的研究」中間取りまとめ (2004年 11月 25日 15:37)
 厚生労働省は、昨年より開催されていた『「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会』が今年6月に示した提言を受け、新規に設定される「条件付き特定保健用食品」について各関係分野の専門家からなる「新特定保健用食品制度に関する基準等策定のための行政的研究(班)」による検討作業で報告された「中間とりまとめ」を受けこれを公表しました。その具体的内容は次の項目でまとめられています。
1.表示内容の充実−特定保健用食品制度の見直し−
2.表示の適正化−特定保健用食品・栄養機能食品における表示規制の強化−
3.安全性の確保−ガイドラインに従った自主管理の促進−
4.その他
 その中で「条件付き特定保健用食品(仮称)」については、次のように述べられています。
<科学的根拠について>
・現行の特定保健用食品に比べ、@作用機序、A有効性を確認する試験の方法、の2方向から審査基準を緩和し、「条件付き特定保健用食品(仮称)」とする。
<表示について>
・許可表示は「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している食品です」とし、条件付きの4類型ごとに分けることはしない。
・許可マークは現行と同じ図柄を用い、文字にて「条件付き特定保健用食品(仮称)」と表示させる。
詳細については、
厚労省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/ から入り→「食品安全情報」→「パブリックコメント(ご意見を募集しています)」→「「健康食品」に係る今後の制度のあり方について(提言)の実施についての意見募集」
を参照下さい。
参考資料:ドラッグトピックス 平成16年8月30日号
     薬局新聞 平成16年11月17日号
     厚労省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/
■ 日本人の栄養所要量(食事摂取規準)第7次改正 (2004年 11月 21日 22:59)
 厚生労働省の「日本人の栄養所要量(食事摂取規準)策定検討会」が10月25日に開かれ、第7次改正となる食事摂取規準を大筋でまとめられた。食事摂取規準は平成11年の第6次改定で示されて以来、5年ぶりの見直しとなり、平成17年度から5年間活用される。
 今回の改定では、化学的根拠に基づいて基準値を設定すると共に、生活習慣病予防を重視する観点から、それに関係する栄養素には「摂取量の範囲(目標値)」を設定されているのが特徴とされている。
 厚生労働省は、この摂取基準を薬事・食品衛生審議会健康増進部会に報告すると共に、関係学会・団体の協力の下、セミナー等を通じて普及を図っていく、近くホームページで公表され、意見募集が行われる。
参考資料:薬事日報 平成16年10月29日号
日本薬業新聞 平成16年11月9日号
朝日新聞 平成16年11月8日
食品化学新聞社ホームページ http://www.foodchemicalnews.co.jp
■ 海外事情 治験結果の透明性確保が加速 (2004年 11月 14日 23:44)
 小板橋律子氏は、日経バイオビジネスの「ワールド ニュース ウオッチ」において治験の情報公開に関する海外事情を報告している。そのなかで、治験や臨床試験に関する研究成果の雑誌掲載について次のように紹介している。
 「主要な海外医学雑誌が、治験や臨床試験に関する研究成果を掲載する際に、一般的にアクセスできるデータベースに研究成果が登録されていることを、条件として新たに求め始めた。
 これは、International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE) が、9月にとりきめたもの。ICMJEに加わっている主要医学雑誌がこの方針に従うとしている。
 治験において、有効性や安全性を示したポジティブデータは医薬品のマーケティングに活用される。一方で、医薬品のリスクや効果に対する否定的な結果(ネガティブデータ)については、全てが論文に掲載されるという保障はないという問題がICMJEの新方針の背後にある。」とし、
日本でも治験の情報公開体制整備は急務といえるだろうと述べている。
日経バイオビジネス 2004年11月号8頁より
■ 1日300kcalのエネルギーを消費するための歩数 (2004年 10月 12日 23:57)
 薬局・薬剤師のための「健康日本21テキスト」(日薬雑誌54(10-Suppl.)108頁)に、
1日300kcalのエネルギーを消費するために ちょっと早歩き!! 習慣にしませんか。
300kcalを消費するための歩数=6÷((体重kg)×(歩幅cm))×10,000,000
と紹介されています。 本文18頁には、その解説が次のように記載されています。
【歩行数と消費エネルギーとの関係】
1日1万歩によるエネルギー消費は、体重60kg 、歩幅70cm (男性の平均歩幅)、分速70mの場合には、約300kcalとなる。300kcalを消費するための歩数は、以下の式から推測することができる。
300kcalを消費するための歩数=6÷((体重kg)×(歩幅cm))×10,000,000
 体重60kg 、歩幅70cm での試算で、14,286歩=6÷((60kg)×(70cm))×10,000,000
となりました。何故1万歩にならない? この方程式の引用論文(調剤と情報6(2)299,2000-2)に遡ってみますと、
A.体重kg
B.1km歩くときに消費するkcal(A÷2)
C.歩幅cm(男性70cm 、女性65cm)
D.300kcal を消費するために必要な歩行km(300÷B)
E.300kcal を消費すために必要な歩数(D×100,000÷C)
となっています。この計算式では、やはり14,286歩となります。
ところが、解説の所に、1km走ると、体重と同じ値のkcalを消費し、歩行に消費するエネルギーは走行時の半分といわれている、とありました。
答(1日1万歩)は「早歩き(70m/分)」、「ちょっと早歩き!!」にありました。  
■ 小児用抗菌薬の服薬に関する情報提供について (2004年 09月 14日 15:32)
 有重美幸氏は全国の保険薬局の薬剤師を対象にインターネット上で調査を実施し、小児用抗菌薬の服薬に関する情報提供の現状を次のように報告(薬局55(8)2452,2004)している。
 「子供の年齢別に、保護者に対し服薬に関する情報提供の内容を変えている」と回答した薬剤師59名に対して、年齢別の服薬に関する情報提供の内容を聞き集計した。
●「0歳の小児に対する抗菌薬の服薬指導の内容をすべてお答えください」の質問に対する回答(N=58)
「ほほの両側につける」77.6%、「ジュースに溶かす」19.0%、「アイスクリームに混ぜる」15.5%、「ヨーグルトに混ぜる」13.8%、その他12.1%
●「1-3歳の小児に対する抗菌薬の服薬指導の内容をすべてお答えください」の質問に対する回答(N=58)
「アイスクリームに混ぜる」50.0%、「ヨーグルトに混ぜる」39.7%、「薬用ゼリーに混ぜる」39.7%、「ジュースに溶かす」34.5%、「ほほの両側につける」32.8%、「プリンに混ぜる」24.1%、その他20.7%
●「4歳以上の小児に対する抗菌薬の服薬指導の内容をすべてお答えください」の質問に対する回答(N=59)
「アイスクリームに混ぜる」42.4%、「薬用ゼリーに混ぜる」42.4%、「ジュースに溶かす」30.5%、「ヨーグルトに混ぜる」27.1%、「特に何も指導していない」25.4%、その他16.9%
■ 口腔アレルギー症候群と食物依存性運動誘発性アナフィラキシ− (2004年 09月 09日 13:13)
 最近、これまでに見られなかった二つの新タイプのアレルギーとして「口腔アレルギー症候群」や「食物依存性運動誘発性アナフィラキシ−」がでてきている、と報道(北国新聞 平成16年8月30日)されている。前者の原因物質として、キウイフルーツやメロンなどの果物や野菜、低年齢の子供のケースが多い。後者は発症はまれな疾患で、原因物質としては小麦や魚介類など。中学生以上に多いとされている。
■ 西ナイル熱のワクチン開発 長崎大が臨床試験へ (2004年 09月 04日 23:48)
 1999年8月に米国ニューヨーク市に発生した西ナイル熱は、その後数年の間に西海岸にまで広がりを見せ、日本への侵入が懸念されている。
 西ナイル熱の予防ワクチンを長崎大熱帯医学研究所の森田公一教授と国内のワクチンメーカーのグループが開発、秋にも人を対象にした臨床試験に入る見通しであることが分かった、と報道(北国新聞 平成16年8月28日)されている。
■ 子供向け投薬基準量 厚生労働省、100成分検討へ (2004年 09月 04日 23:36)
 旧厚生省研究班の調査(00年)によると、5病院で18歳未満の患者に使われている約2300種類の医薬品のうち、4割は添付文書に「子供への適用の安全性は確立していない」と書かれ、3割は子供への使用について全く記載がなかった。
 厚生労働省は、専門家らによる検討会を設置し、来年度から5年間で100成分について子供への投与量などの基準をつくる、と報道(朝日新聞 平成16年8月23日)されている。
■ 「新特定保健用食品制度に関する規準等策定のための行政的研究」がスタート (2004年 09月 04日 23:25)
 厚生労働省は「新特定保健用食品制度に関する規準等策定のための行政的研究」の研究班をスタートさせ、
(1)表示内容の充実
 1.「条件付き特定保健用食品(仮称)」の導入
 2.規格基準型特定保健用食品の創設
 3.疾患リスクの低減表示の容認
 4.特定保健用食品の審査基準の見直し
(2)表示の適正化
(3)安全性の確保
(4)普及啓発等
等の検討作業を行い年内に施行を目指す、と報道(ドラッグトピックス平成16年8月30日ほか)されてる。
■ 「医薬品」から「医薬部外品」への移行が認められた15製品群 (2004年 08月 24日 13:30)
 「医薬品」から「医薬部外品」への移行が認められた15製品群371品目が、7月末から一般小売店でも取り扱えるようになった。だが、「目玉」の風邪薬が含まれておらずコンビニの動きは鈍いと報道されている。
 今回、医薬品から医薬部外品に移行した15製品群371品目の内訳は、次の通り。
■健胃薬:10品目、■整腸薬:33品目、■消化薬:3品目、 ■健胃消化薬:16品目、■下剤:7品目、
■ビタミン含有保健薬:148品目、■カルシウム主薬製剤:16品目、■生薬主薬製剤:7品目、
■鼻づまり改善薬:10品目、■殺菌消毒薬:66品目、■しもやけ・あかぎれ用薬:17品目、■うがい薬:8品目
■コンタクトレンズ装着液:2品目、■いびき防止薬:2品目、■のどあれ薬:26品目、
 一般用医薬品によるものと考えられる有害事象については、厚労省が1998年から2002年度までの約950件を公表している。その薬効群別症例の内訳は、風邪薬:341件(36%)、解熱鎮痛薬150件(16%)、滋養強壮保健薬68件(7%)、鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬61件、漢方製剤50件(5%)、鼻炎用内服薬39件(4%)、眼科用薬37件(4%)、胃腸薬33件(4%)、その他171件(18%)と報告されている。
■ 世界アンチ・ドーピング規定 2004年禁止リストに関する国際基準について (2004年 08月 14日 14:06)
■競技会検査における禁止物質の種類
 S1 興奮剤、S2 麻薬性鎮痛剤、S3 カンナビノイド類(ハシシュ、マリファナなど)、S4 蛋白同化剤、S5 ペプチドホルモン、S6 β2作動薬、S7 抗エストロゲン作用薬、S8 隠蔽剤、S9 糖質コルチコイド類
■競技会検査における禁止方法
 M1 酸素運搬の促進(血液ドーピングなど)、M2 薬理学的・化学的・物理的操作、M3 遺伝子ドーピング、
■競技外検査における禁止物質と禁止方法
 禁止物質:S4、S5、S6、S7、S8 禁止方法:M1、M2、M3 
■特定競技において禁止される物質
 P1:アルコール、P2:β遮断薬、P3:利尿薬
■指定物質
 指定物質の使用目的が競技能力の強化でないことを競技者が立証できれば、規定に基づいて制裁措置が軽減される場合がある。S1、S3、S6、P3、S8、S9、P2、P1
■2004年監視プログラム
 禁止リストに掲載されていない物質のうち、誤用されやすく、競技における薬物乱用パターンを把握するためのモニター制度により、2004年監視プログラムにいられているもの
 興奮剤:(競技会検査のみ)カフェイン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピプラドール、プソイドエフェドリン、シネフリン
 麻薬性鎮痛薬:(競技会検査のみ)モルヒネ/コデイン比
詳細については、http://www.anti-doping.or.jp/code/index.html
■ 病気予防に役立つプロバイオティクスについて (2004年 08月 13日 16:16)
 プロバイオティクスとは“宿主に保健効果を示す生きた微生物を含む食品”と定義されている。
 我が国では1990年より開始された「特定保健用食品制度」の創設により、有用なプロバイオティクスの供給が可能となり、健康増進に役立っている。
 プロバイオティクスの健康表示は、良好なヒト臨床試験の成績に基づいて示されているが、今後、ヒト試験が求められる健康表示についてはプロバイオティクスを用いた試験が必要であり、医学的・栄養学的に有用であると結論づけられるヒト試験法が提示され、それに基づいて試験が実施されることが極めて重要である、と報告されている。
すでに明らかにされているプロバイオティクスの機能および期待される機能
科学的に証明されている健康表示
(1)ロタウイルス下痢症の改善, (2)抗生物質誘導下痢症の改善, (3)ロタウイルス下痢症感染リスクの低減, (4)乳糖不耐症軽減, (5)乳児食餌性アレルギー症の軽減
ヒト試験が求められている試験研究
(1)アトピーの予防作用, (2)大腸ガン低減作用, (3)過敏性大腸炎および症状、クローン病・潰瘍性大腸炎の軽減, (4)Clostridium difficile下痢症の低減および栄養管理, (5)食餌性コレステロールの低減, (6)乳児および子供の呼吸器感染症の低減, (7)口腔内感染症の低減
辨野義己:日薬誌56(8)1009,2004より
■ イレッサの効果予測 (2004年 08月 05日 11:26)
 米国の2つのグループが肺がん治療薬「イレッサ」(一般名:ゲフィチニブ)の効き目を左右する遺伝子変異を突き止めた。東大医科研も遺伝子の発現解析による効果予測診断を計画中と報告されている。
 イレッサはがん細胞に高発現しているたんぱく質、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)に作用しがん細胞の増殖を抑制することが知られている。2つの研究グループは、イレッサが有効であった患者のEGFRには100%変異があり、無効であった患者のEGFRの大部分には変異がなかったことを明らかにしている。
 さらに、ダナ・ファーバーがん研究所は欧米人よりも日本人に、男性よりも女性に、腺がん以外のがんよりも腺がんに高い頻度で変異が起こっていることを明らかにした。しかし、EGFR遺伝子に変異がなくてもイレッサが有効であった患者が1人おり、100%予測は不可能とみられている。
                  日経バイオビジネス No.38,10,2004-8 より
■ 急性心筋梗塞後におけるARB(アンジオテンシンU受容体拮抗薬)、ACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)およびARBとACEIの併用について (2004年 08月 05日 11:06)
・ひとの心臓ではアンジオテンシンU(AU)の80%がキマーゼ経由、20%がACE経由であるとのデータが生化学的検討から得られている。
・ブタの再狭窄モデルに対するARBとACEIの併用で血管内皮機能に有意な併用効果が認められたとの報告がある。
・急性心筋梗塞後における予後改善効果について、大規模臨床試験VALIANT(Valsartan In Acute Myocardial Infarction)においては、高血圧治療薬ARBバルサルタン単独、ACEIカプトプリル単独、バルサルタンとカプトプリル併用の3群間で比較検討がおこなわれ、
全く同等の予後改善効果であることが示された。
■ SERM(Selective Estrogen Receptor Modulator) (2004年 08月 03日 11:38)
SERM(Selective Estrogen Receptor Modulator)
(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
 本年5月、閉経後骨粗しょう症に適応をもつエビスタ錠(一般名:塩酸ラロキシフェン)が発売された。
エストロゲン製剤は、どの組織でもエストロゲンと同様に働く。ほてりなどの更年期症状や、骨代謝、脂質代謝を改善する反面、乳腺や子宮を刺激し、乳がんや子宮内膜がんのリスクを高めることが指摘されてきた。
これに対し乳がん治療薬のクエン酸タモキシフェンは、乳腺や脳に対してはエストロゲン拮抗作用を示し、子宮、骨、脂質代謝、血液凝固能に対してはエストロゲン様作用をしめす。
今回発売された塩酸ラロキシフェンは、臨床試験で子宮、乳腺に対しエストロゲン拮抗作用を示し、骨や脂質代謝(心血管系)に関してはエストロゲン様作用を示し、乳がんの発症リスクが少なく、骨粗しょう症に対する有効性が示された。
塩酸ラロキシフェンの登場を機に、エストロゲン受容体と結合後、組織によってエストロゲン様作用を示したり、抗エストロゲン作用を示したりする薬剤群をSERMと呼ぶようになった。

クエン酸タモキシフェン:乳腺(拮抗),脳(拮抗),子宮(刺激),骨(刺激),脂質代謝(刺激),血液凝固能(刺激)
塩酸ラロキシフェン  :乳腺(拮抗),脳( ― ),子宮(拮抗),骨(刺激),脂質代謝( ― ),血液凝固能( ― ) 

塩酸ラロキシフェンの組織選択的作用は、各組織における転写調節因子の発現の違い、ラロキシフェンが結合して生じるエストロゲン受容体の特徴的な構造変化および標的遺伝子の持つプロモーターの多様性などによると考えられている。
■ 禁煙に伴う服薬指導の注意点 血中濃度が変化する薬剤も (2004年 07月 29日 13:48)
 たばこの煙にはベンツピレン、ベンツフルオレンなどの多環式芳香炭化水素が含まれており、これらは肝臓でCYP1A2などの薬物代謝酵素を誘導するといわれている。従って、たばこを吸っていた人が禁煙すると、誘導されて増えていた酵素が減少し、結果として薬物の代謝が減少して血中濃度が上昇する。
 CYP1A2で代謝される薬剤には、主なものとしてテオフィリン、カフェイン、β遮断薬のプロプラノロール、三環系抗うつ薬、ジアゼパムなどがある。
 UDPグルクロニルトランスフェラーゼ(薬物のグルクロン酸抱合に関与する酵素)もたばこによる誘導を受けることが報告されている。この酵素の作用を受ける薬物としてアセトアミノフェンがあるが、禁煙によりアセトアミノフェンの抱合が減少し、結果として用量オーバーとなる。インスリンの場合、禁煙でその作用が増強するとの報告がある。
 このように、たばこと薬物の相互作用については、禁煙指導時、併用薬の作用増強、大衆薬や嗜好品の摂取に対するアドバイスなど、幅広い対応が必要である。
 
■ 高齢者の便秘に対するアントラキノン系薬剤と大腸黒皮症 (2004年 07月 29日 11:38)
 高齢者の便秘に対しては、センナ、大黄、アロエといった結腸に刺激を与えるアントラキノン系の下剤がよく使用されている。これらの薬剤を安易に連用すると、大腸粘膜の薬剤に対する感受性が鈍くなるため、服用量の増大につながる事も少なくない。
 アントラキノン系の下剤を半年から〜1年近く連用すると高率に大腸黒皮症を生じると報告されている。これは服用されたアントラキノン系薬剤が消化管で代謝され、できた色素が腸粘膜にとどまっておきると考えられている。
 慢性便秘に悩む患者さんの大腸内視鏡検査を行うと、大腸黒皮症の所見が高率に認められるが、悪性腫瘍との関連性は否定されているという。
■ 「にがり」と「痩身効果」 (2004年 07月 22日 13:17)
独立行政法人「国立健康・栄養研究所」の「健康食品の安全性・有効性情報」のホームページに、誤解されている健康情報の事例として、[にがり」と「痩身効果」が掲載されています。詳しくは http://hfnet.nih.go.jp/main.php をご覧ください。
■ トランスポーターデーターベースへのアクセス (2004年 07月 05日 10:19)
薬物の体内動態を支配する因子として薬物代謝酵素と同時にトランスポーターが重要であること解かってきています。トランスポーターに関する様々な最新情報を、トランスポーターデーターベース http://www.tp-search.jp/(東京大学大学院薬学研究科杉山雄一教授研究室作製)にアクセスすると得ることができます。  
■ 大衆薬の情報検索 (2004年 07月 01日 15:35)
薬局・薬店でお買い求めできる約4000種類の大衆薬の情報検索が、日本大衆薬工業協会のホームページ http://www.jsmi.jp/ からできます。その他、セルフメデイケーションに関する情報も入手できます。
■ 薬の副作用のデータマイニング (2004年 05月 02日 19:26)
厚生労働省が副作用データマイニングに五年をめどに実用化を目指すと発表しました。
厚労省には年間約2万5000件の副作用情報、海外の副作用情報などを合わせると、年6万〜7万件が集まるといわれています。